2017年の3月10日の時点で、東日本大震災による死者は1万5893人、行方不明者は未だ2553人とのこと。生かされたことに感謝するとともに、犠牲者のご冥福をお祈りします。
昨日から本日昼過ぎまでは、
第10回神経発生討論会を仙台近郊の秋保にて主催していました。セッションの途中に当たるため、追悼のための黙祷は本日の口頭発表開始前に行われました。
京都府立医科大学の野村 真さんと当研究室の吉川貴子さんが心を配って丁寧に企画してくれた甲斐があり、参加者は100名弱と大盛況かつ和やかなものとなりました。韓国からも5名の参加者があり、トークのスライドやポスターは英語、口頭発表のほとんどの方は英語での発表だったので、留学生の方たちにも十分わかりやすかったと思います。
今年の特別講演の講師は愛媛大学の村上安則さん。もはや日本では彼が脳の進化の大家です。学名がたくさん出てくるのがちょっと辛いのだけど……。脊椎動物型の脳の起源はカンブリア紀まで遡れるが、小脳、菱脳、終脳などは脊椎動物の系譜で変形していった、というお話でした。
この研究会は大阪大学名誉教授の村上富士夫先生、生理学研究所の池中一裕先生、名古屋大学の宮田卓樹先生が発起人として作られたものです。現在、世話人は10数名。順に研究会のオーガナイズを行って回していますが、年会費の徴収などは行わず、事務局も置かないカジュアルな運営です。
何より「若手育成」を目的として設置された会なので、発表者は原則若手、10分と比較的長めの質問時間も、最初の5分は若手優先というルールです(「自称若手」は含まれませんww)。英語の口頭発表に対して、日本語での質問もOK。とにかく質問する習慣を付けるのが大事。
何より、神経科学大会や分子生物学会のような大きな学会よりも「神経発生」に特化した研究者が一同に会しているので、質問も深くなるし共同研究の話なども盛り上がります。ちょうど「日本版ゴードン・カンファレンス短縮型」のような研究会ですね。
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夕方からは、今年度でご退職になる森悦朗先生の退職記念祝賀会に出席しました。こちらも森先生のお人柄を反映してユーモアに溢れ、なおかつ暖かい会でした。神経心理学を打ち立てられた山鳥重先生の後任として「高次脳機能障害学分野」の教授として14年務められる間に、正常圧水頭症や認知機能障害に関する数々の研究成果を挙げられました。本当にバイタリティのある先生で、東北大学脳科学グローバルCOEで御一緒できたことは幸せでした。「あの仕組みは良かったよね」と森先生も仰って下さるのが嬉しく思われます。
山鳥先生はじめ多数の方々が全国からご出席されていたことも、森先生のご人徳ならではですね。
森先生のスピーチも、過日の最終講義の折も含め、いつものことですが、関西人らしく随所で笑いを取っておられました。本学ご退職後は大阪大学に移られるとのこと。新天地での益々のご活躍をお祈り申し上げます。*****
その後、神経発生討論会に招聘・参加された韓国の研究者の方々との夕食会に顔を出しました。これからも交流が続くことを祈っています。

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早目に先に失礼して、着物を片付けたり書類を作ったりした後、Facebook経由で回ってきたのが、駐日米国臨時代理大使の動画が素敵だったので、こちらに掲載しておきます。震災復興のために設置された東北メディカル・メガバンク機構を訪問された折の映像も使われています。
地域住民コホート8万人、三世代コホート7万人のリクルートが達成され、これからフォローアップと解析のフェーズになりますね。生かされた者として最善を尽くしたいと改めて感じた日でした。