大英自然史博物館展とセットで行こう!:科博企画展「卵からはじまる形づくり」

年に1回の社会人向け講義のために神保町の東京堂さんへ行った帰り、かねてより訪問しようと狙っていた国立科学博物館の企画展「卵からはじまる形づくり〜発生生物学への誘い(いざない)」を観てきました。

日本発生生物学会が設立50周年という節目でもあり、科博さんとのコラボで成立した企画。学会挙げての豪華企画陣もさることながら、オープンキャンパスのレベルをはるかに超えたプロっぽい展示制作物になったのは、工藤光子さんというキーパーソンのおかげ。流石です♬
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展示会場には多数の「生の標本」があり、顕微鏡などを使って実際に自分の眼で見ることが可能です。説明のパネルもとてもわかりやすいものになっています。それでも、ちょっと難しいと思うことがあれば、遠慮なくアシスタントに入っている現役研究者やその卵たちに訊いてみると良いと思います。

今日はちょうど、トークショーの時間に重なったこともあり、東北大学から企画運営に関わっている生命科学研究科の田村宏治さんと、倉永英里奈さんにもお目にかかれました。画像はDuoトークをされた太田欽也さん@Academia Sinica, Taiwan(真ん中)と新美輝幸さん@基礎生物学研究所(右)と、MCの田村さん(左)。太田さんがキンギョの尻尾が二股になる仕組みについて、新美さんはカブトムシの角の二股についてトークをされました。
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毎週末、トークショーが企画されています。事前申し込みは必要ありませんので、気軽に立ち寄れそうです。詳しくはwebをご参照あれ。

また、大型連休の間には、実際にニワトリ胚を取り出して観察する実習もあります! 子どもさんに是非、観て欲しいです。胚の心臓がバクバク動いているのを観ると、本当に感動します。こちらは要予約です。申し込みはこちら

発生生物学の歴史の最初は「観察」でした。その後、イモリの胚などを用いた「実験発生学」の時代となり、さらにショウジョウバエが導入され、線虫が導入され、ノックアウトマウスが作られるようになり、それらの学問の潮流の中で、2012年のジョン・ガードン先生&山中伸弥先生のリプログラミングに繋がったことを忘れてはいけないと思います。発生生物学に関係する分野のノーベル賞をたどるだけでも、そのことがわかります。科学者の純粋な興味が、やがて他の方の手で大きなイノベーションに発展するのです。

ちなみに、パンフレットの最後の方にうちの助教の木村君が撮影した精細管におけるPax6の発現の美しい画像が載っていたのは想定外ww(訊いてないですよ!) ピンクが精母細胞の核で発現しているPax6です。精子形成における機能の解析はこれからのお楽しみ♬
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同じく、6月11日まで開催されている大英自然史博物館展のチケットで、こちらの企画展も観ることができますので、ぜひお立ち寄り下さいね。
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大英自然史博物館展の方では、個人的には、実物観たのが初めての始祖鳥の化石が、思っていたよりずっと小さかったこと、ドードーのCGがよく出来ていたことが印象に残りました。あと、藻類学者のKathleen Drewや植物学・地質学者のMarie Stopesなどの女性科学者がいたことも覚えておこうと思いました。日本にも、もっと本格的な自然史博物館があると良いですね。
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by osumi1128 | 2017-04-08 17:27 | 科学 コミュニケーション

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