吹雪の留寿都

昨日(というか、日付は一昨日)から今日、「脳と心のメカニズム」というワークショップに参加してきた。
場所は北海道の留寿都というところ。
ゲレンデ直結のホテルに合宿形式だった。

千歳空港からバスで2時間あまり、どの方角だかも把握していないのだが、とにかく千歳は晴れていたのだが、山に近づくに従ってどんどん雪が降ってきて、ホテルに着いたときには吹雪だった。
でも、北海道の建物は、中はとても暖かい(というか暑いくらい)。
東北大に来たときも、トイレの中にパネルヒーターがあって、さすが寒冷地仕様と感心したものだ。

さて、飛行機とバスの乗り継ぎが悪かったせいもあり、『下流社会 新たな階層集団の出現』(三浦 展著、光文社親書)を到着までに読み終えた。
戦後の経済成長に伴って1970年代までは「中流」意識を持った人たちが増えたが、その後の経済不況等により「中から上へ」と「中から下へ」に分かれつつあるのが現状である、という内容で、ベストセラーでもあり、いろいろな方が取りあげていることと思う。
確かにツッコミどころの多い本なのだが、ここでは「少子化・男女共同参画」観点からコメントしておきたい。

第4章「年収300万円では結婚できない?」の中に「700万円をとるか、子供をとるか」という項がある。
この中の統計分析で、女性の側から分類したときに、世帯の年収が700万円以上ではDINKS(double income no kids)が3割程度なのに対し、500-700万円ではDINKSは1割に減って夫婦と子供世帯が約60%となることを掲げている(ただし、Nの数は総数で100)。
つまり、子供ができることで妻が仕事を辞めるケースが多いためにこのような傾向があり、もし、子供ができても共働きが可能であれば、金銭的に裕福なファミリーを作る可能性がある、と筆者はみなしている。

もう一つ、「コラム:恋愛にも階層の壁ふたたび」において「晩婚化の理由は階層化」であることを指摘している。
これは、あまり語りたがらない視点であり、晩婚化の理由は普通「女性の社会進出」のせいにされることが多い。
だが、筆者は現代社会において新たな階層が生まれているだけでなく、それが「固定化」されつつあることに警鐘を鳴らそうとしているようだ。


ところで、肝心のワークショップのことだが、中心となっているのはいわゆる「システム系」および「理論系」の方達である。
彼らは3万の遺伝子のうち、ドパミンやその他の神経伝達物質とその受容体は分かっているが、他のカテゴリーの分子はあまり知らない。
まあ、別に知らなくても困らないのだから構わないといえば構わないのだが、こういう聴衆の前で、「脳形成の分子基盤」のような話をするのはかなりしんどい。
まして、その役者が「転写因子」だと、脳機能の実行部隊ではないので、さらに辛い。
でも、なんとか頑張って意思の疎通を図りたいと思っている。
by osumi1128 | 2006-01-13 01:35

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