日本版テニュア制度

私にとって最終電車というと、東京21:32発やまびこ225号のことになる。
東京にいた頃は、遅くなると終電というタイムリミットを気にしながら実験したが、仙台のラボではほぼ皆、徒歩、自転車、車(場合によってはタクシー)である。
時間の使い方という意味では、良いのか悪いのか・・・

皆さん(とくに関西以西の方々)、仙台が盛岡と同じくらいのところにあるとか、東京から名古屋までよりも遠いと思っておられるが、普通は東京から1時間40分程度。
ただし、各駅停車に近い「やまびこ」は、2時間以上かかってしまうので、せっかちな私としては好きではない(しかも料金は同じだし)。
金曜日の夜だけは22:20発、仙台到着が23:59という臨時電車があるのだが、是非毎日にしてほしいものだ。

ところで、昔からの業界友達で、日本の企業の研究所とアメリカのアカデミアでのポスドクを経験された方から、「キャリアパス問題」についてメールを頂きました。
貴重なご意見なので紹介しておきます。
要点をかいつまむと、以下のようになります。

アメリカでは博士研究員は即戦力として雇われる。ただし、会社が育てる訳ではない。チャンスはあげるが、使えなければクビという発想。これはアカデミアでも同様で、10人のPI(Assistant Professor)を取ったら、次の契約更新をして生き残れるのは2名程度(東海岸のトップ大学だとおそらくそれ以下)。
日本は終身雇用制が基本なので、新入社員が即戦力でないことは分かっていて、入社した後に育成する。したがって、若い人材の方が好まれる。会社では30前後くらいからふるいをかけるので、その間アカデミアで過ごした人間は頼りなく見える。


この方は、「本来学生さんが自分の将来像をしっかり見据えて、自ら足りないであろう部分を予め磨いておくべき」というご意見でした。

私自身は留学せずにPIになったので、キャリアパスできなかったPIキャリアパスから外れたPIをあまり知りません。
私よりも若い世代の日本人の方で、アメリカで独立された方も多いのですが、とりあえずまだPIを続けておられるようです。
したがって、テニュアを取れるのが1/5という印象はあまりなかったのですが。

ところで、文科省は大学に対して「テニュア制度」を進めています。
といっても「日本版テニュア制度」です。
つまり、本来のtenureというのは終身在職権があり、定年がない(自分で研究費を稼げる限り)はずですが、日本版ではそうではありません。
助教(Assistant Professor)から、準教授(Associate Professor)、教授(Full Professor)へと、査定を経て「キャリアパス」する昇進する制度、ということになっています。
ついこの間までは「終身雇用だと流動性がなくなるから、任期付きにせよ」という指導で、私の所属する東北大学大学院医学系研究科では、平成14年度から教授も含めて任期制にしました。
今後、「テニュア制度」の具体化、任期制との整合性について、また検討しなければならないというのは、本当に頭の痛いことです。
こういうことによって、現場の研究力が下がるということを、よく考えてほしいと思います。
by osumi1128 | 2006-01-29 01:03

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