超バカの壁
2006年 02月 09日
元ボスが養老先生のお友達だったので、学部生の頃に養老先生の特別講義を初めて聴いた。
かなりの講義をクラブにかまけてさぼっていた私であるが、養老先生の講義はよく覚えている。
一つは「九相図」もしくは「九相死絵巻」と呼ばれるものをスライドで見せられたこと。
人間が死んで、その肉体がだんだん膨れあがったり、腐ったり、獣に食べられたり、最後は土に戻っていくことを9つの段階に分けて図示したもの。
確か平安時代のものというように伺った気がする。
当時は現在と違って、往来でそのような死体を見ることも多かっただろう。
「死とはプロセスである」ということをそのとき思った。
もう一つは、日本最初の西洋解剖書の翻訳本である「解体新書」と、その原著である「(俗称)ターヘル・アナトミア」における解剖図譜の描き方の違いについて。
原著では、解剖されている遺体が「リアル」、例えば、覆われている布の襞や、留まっているハエなどまでが描かれているのに対し、解体新書では、いわば模式図に近い描かれ方をしている。
また、解体新書には「輪郭」があるのに対し、「ターヘル・アナトミア」は「光と陰」で点描で表されている。
これは、絵を描くのに使われた道具に依存しているところもあるだろう。
そんな昔の記憶があるので、養老さんの本はいつもどこか懐かしい気持ちで読んでしまう。
「都市=脳型社会」という捉え方も共感を覚えるし、「今日の自分は本当は昨日の自分と全く同じではないはずなのに、自己が存続しているように錯覚できる」という話も認知科学的に興味深い。
さて、一連の著書ではかなり同じテーマが繰り返されてはいるのだが、今回の新潮新書でちょっと取りあげておきたいのは「4 男女の問題」という章である。
生物学的な男女の違いについて、分かり易い言葉で書かれている。
「5 少子化の問題」では、都市化が少子化の原因であると述べておられる。
曰く「都市化は自然を排除することであり、子供は自然そのものである。したがって、都市化することは子供を排除することに繋がる。」