ホリデイ・リード2018GW

年頭に「2018年はもう少し読書量を増やす」という目標を立てたのに、なかなか追いつきません……。

GW中前半折り返しで読み終わった本と、これから読みたい本を備忘録として挙げておきます。

シッダールタ・ムカジー(仲野 徹監訳、田中 文訳)
読み応えありました。読み飛ばせない本だったので、Kindle上でハイライト入れながら、この壮大な遺伝学の歴史と展望についての書籍を丁寧に読みました。著者は腫瘍生物学が専門の医師ですが、親族に統合失調症や双極性障害の方がいるため、精神疾患の遺伝子解析についての記述も豊富。オランダの大飢饉の例を挙げて、環境がどのように遺伝子の働き方に影響するのか、細胞にとっての記憶とは、というエピジェネティクスについての説明は、前期の授業でも役に立ちそうでした。感じたこと、言いたいことは山ほどあるのですが(日本人による重要な発見について飛ばされているなぁ、など)、書評を書くには、あと何回か読んで咀嚼してからの方が良さそう。とにかく、生命科学・医学を学ぶ学生さん、生命科学や基礎医学を教える教員にとっては必読書です。高校の生物学の先生もぜひ、お読み下さい! 大学図書館、行政管轄の図書館、すべての図書館にもぜひ2冊以上、置いて欲しいくらいです。
とりあえず中身が知りたい、という方は監訳の仲野先生のレビューを!
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山鳥 重
東北大学名誉教授、高次機能障害学の教授であった山鳥先生の近著。こちらもご自身の体験談が含まれます。脳の働きが損なわれた患者さんを多数診てこられた山鳥先生にとって、「わかる」という行為がいかに複雑精緻な脳の働きであるのかが解き明かされます。

高橋宏知著
東大工学部の超人気講義を書籍化したもの。構成論的に神経機能を理解するというのは、一つの重要なモノの見方でもあり、忙しい学生さんにとっては、分量として確かに適切なところかもしれません。教科書を読むというのは頭の中に「フォルダ」を作ることだ、とかねがね説明しています。ある学術分野の「体系」を捉えて、いくつかのフォルダを作っておくことが、後から入ってくる知識を整理するのに役立ちます。(でも、本当は例えば『カンデル神経科学』などのもっと分厚い教科書を、学生の間に一度は読み通して欲しいと思うところ。)

R・ダグラス・フィールズ(小西史朗監訳、小松佳代子訳)
最近のブルーバックスは、京極夏彦シリーズのような分厚い新書を出すのが流行りのようになっていますね。書き下ろしのものもありますが、こちらは翻訳本。脳の働きはニューロンだけで行われていると思っている方は多数いると思うのですが、実はそうではありません。脳内の全細胞の「8割」がグリア細胞かどうかは異論のあるところと思いますが、間を埋めている「膠(にかわ、glue)」の細胞として名付けられたglia細胞が、むしろニューロンの活動を制御しうる役者であることが知られつつあります。「知能、アルツハイマー病、発達障害、統合失調症……すべてに関与していた!」というのは嘘ではありません。

津川友介
東北大学医学部出身で、公衆衛生学の辻一郎先生の薫陶も受けた筆者が、エビデンス(各種論文等)にもとづいて勧める「何を食べたらよいか・何を食べない方がよいか」。栄養関係の書籍として現在、Amazon第一位。章末には根拠となる論文が挙げられ、さらに最後の章は「どのようにして正しい情報を得るか」というノウハウまで書かれている。白米(白い炭水化物)よりも玄米(茶色い炭水化物)(ただし、白砂糖よりも黒砂糖が健康に良いということではない!)、赤い肉(牛豚羊)よりも白い肉(鶏)や魚、ジュースよりまるごとの果物や野菜を摂取すべき、など極めて「当たり前」のことが書かれている。脂質に関しては、先日、拙ブログで取り上げた佐々木敏先生の『データ栄養学』にやや軍配を上げたい。エッセンスのみ知りたいという方には、以下のサイトなどを参照のこと。

あずまきよひこ
大人気の「よつばと!」シリーズが2年半ぶりに戻って来ました! まだ5歳のよつばちゃん、このまま大きくならないで欲しいと思うのですが、少しずつ使う言葉にもバリエーションが見られ(この点が永遠にタラちゃんが大きくならないサザエさんとの違い)、知らない方に話しかけるときには敬語も使っていますね。中身はネタバレになるので書きません♬ でも、今回も安定の面白さです!


by osumi1128 | 2018-05-01 07:03 | 書評 | Comments(0)

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