フランシス・クリック研究所へ行ってきた

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一昨日の夕方にロンドン入り。明日からのミーティングの前に、昨日はフランシス・クリック研究所でセミナーと研究打合せ。フランシス・クリックとは、あの「ワトソン・クリックDNA二重らせんモデル」のクリック先生のこと。当初、英国先端医学研究所……的なネーミングになりそうだったところ、誰かの発案で、英国を代表する、世界的に著名な科学者の名前を冠にしたとのこと。ノーベル賞受賞者であるPaul Nurseを所長とするこの「The Crick」には世界70カ国から1250名の研究者が集まっている。

約2年前に設立した研究所は、すべてが新しくて、自分が大学院進学するなら、こういうところで過ごしたいと芯から思った。

研究所の体制のコンセプトとして、「部門」などに相当するくくりが一切無く、どのPIも対等とのこと(まぁ、稼ぐ資金によって、占めるベンチの広さなどは当然変わるのだけど)。なので、PIのガラス張りのオフィスは、やや小さめ。建物内側吹き抜けの大きな空間に面して、ポスドクや学生のデスクスペースは開放されているのも、交流を促進するため。「ラボ」という物理的な単位が無いので、ディスカッションのときは随所に設置されているソファスペース等に行って行う。あるいは、自分のデスクよりも広々したところで論文書きやデータ処理に没頭したいときなど、そういうデスクスペースもある。WiFiはeduroamも使えて、アカデミアの来訪者にとっても良い環境。
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逆に、今回のホストのFrancois Guillemotに「キャンティーン(食堂)が無くなって、お茶の時間はどうしているの?」と訊いたら、「フロアのお茶飲み場に集まっているみたいだね」とのこと。PI同士の交流の時間がむしろ減ったので、水曜日のランチは1階のカフェテリアにPI用テーブルが「Researved」になっているらしい。「まぁ、行くかどうかはひとそれぞれだけど。」 
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なお、Francoisに「Libraryはあるの?」と訊いたら、「基本的には無い。だって今は電子ジャーナルでしょ? ただし、元Librarianがテーマに合わせた書籍展示などを行うことはある。<遺伝学の歴史>とか<細胞>とか、所蔵されている書籍を使って」とのこと。うーむ、これもOSのチェンジか……。

それから、1階にはアウトリーチ活動用のスペースが広く確保されていて(画像は、線虫の発生を動画で示している)、子ども向けのサイエンスイベントだけでなく、寄付集めなどのためのイベントも行われるらしい。なので、しっかり「カフェ」スペースもある(画像はイベントのとき用のカフェ。この他に大きなカフェテリア=食堂スペースもあり)。
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ディナーのとき、Francoisと奥様のSiew-Langに「この研究所のキャッチフレーズは何?」と訊いてみると、「えっと、何だっけ? Discovery without Boundaryだったかな?」ということで、やっぱりそういうキャッチフレーズを使うのはブランディングに大事と思った。

それにしても、4年ぶりに来たロンドンの風景は、場所によってはどんどん新しい建物が建設されていて、古い建物とミックスされた状態になってきた。クリック研究所を見るに、大英帝国は時代に合わせたアップデートをOSレベルからしているのだと感じた。

詳しくはクリック研究所HPをご参照下さい。

所長のポール・ナースなどが出ているプロモーション動画はこちらから

by osumi1128 | 2018-06-13 15:11 | サイエンス | Comments(0)

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