UCLと東北大学のパートナーシップ協定

本日10月11日付けで、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)と東北大学のパートナーシップの協定が結ばれました。向こう5年間、神経科学、データサイエンス、材料科学、災害科学、高度教育に関しての連携を推進することについて、両大学の総長(UCLの場合にはプロボストと呼ばれます)の調印式が行われました。
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UCLはイングランドで3番目の大学であり、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学が人種や階級、宗教(イギリス国教会)、性別で入学の制限を課していたのに対して、才能があれば広く誰でも受け入れるというポリシーを打ち出したという点で、傍系入学を認めた本学と似た背景があります。国内で初めて女子学生が誕生したということも共通しています。

このポリシーを打ち出したのは哲学者のジェレミー・ベンサムで、メインビルディングの1階に「自己標本」が展示されています。
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また、日本との関係で言えば、UCLは1863年に当時の長州藩から5人の学生(鎖国している当時の日本の状況から言えば密航者)を聴講生として受け入れました(いわゆる「長州ファイブ」)。その後、当時の薩摩藩からも19名がUCLに派遣されました。UCLの中庭に彼らを讃えた記念碑があります。(調印式の前に図書館職員の方がご案内下さいました。)
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戊辰戦争という歴史もあって、東北地方には必ずしも薩長を快く思わない方もいることは確かですが、密航しても英国に学びに行かせようとした、学びたいと思った人々がいたということは、400年以上前に通商交渉のためにローマ法王拝謁をミッションとして支倉常長他を派遣した伊達政宗の精神に繋がるものがあるのではと感じます。

直近のSCOPUSデータでは、UCLと東北大学の共著論文は113報、FWCIは9.4という高さとのこと。今後のさらなるコラボレーションに期待したいと思います。
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by osumi1128 | 2018-10-11 23:48 | 東北大学

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