昨日、
日本学術会議主催学術フォーラム「乳幼児の多様性に迫る:発達保育実践政策学の躍動」に指定討論者ならびにパネリストとして登壇しました。企画・共催は
東京大学附属発達保育実践政策学センター(Cedep)の皆様で、さらに教育関連学会連絡協議会、日本発達心理学会、日本赤ちゃん学会が後援(順不同)。乃木坂の日学の講堂がかなり埋まった感のあるくらい集まっていました。とくに、現場の保育士さんなどが多いためか、女性の方が若干、多かった印象です。
トップバッターの保前先生の「言語獲得の多様な発達」についてのお話(こちらは追って、別エントリーとして拙ブログを書くつもりなのと、新学術領域HPに掲載予定です)以外は、普段、聞くことが少ない教育学分野のものであったので、種々、学びと気付きがありました。久保山茂樹先生@
国立特別支援教育総合研究所は「特別なニーズのある子どもを包み込む保育者や子どもたち」というタイトルで、保育における「ゆるやかさ」が重要であること、個に対する特別な支援の程度が、基盤となる養育環境に依存するので、環境整備が重要なこと、社会が個人に合わせてインクルーシブになっていく必要性について話されました。大学においても同じことと思います。
第2部「乳幼児の養育環境の多様性」では、末冨芳先生@日本大学文理学部が「乳幼児期からの継続的貧困層の育ちとニーズ」について、額賀美沙子先生@東京大学教育学研究科が「移民的背景をもつ子どもたちの家庭環境と日本社会への適応」について話されました。子どもの貧困の問題は、栄養面の問題など、生物学的な影響も相乗的に関わり、次世代だけでなく、さらにその次の世代まで影響があると思われます。福祉や支援へのアクセスがあるかどうかは分かれ目であり、末冨先生は
「あすのば」という公益財団法人での活動もされているとのこと。額賀先生の移民的背景についても、大学として留学生対応として考えるところがありました。
指定討論としては、新学術領域「個性」創発脳という研究グループの代表を務める立場として、多様な「個性」が生まれる仕組みを理解すること、群間の平均値の差としてではなく、個々の値の持つ意味について追求することが、ダイバーシティ&インクルージョンを下支えすると考えていることをお話しました。また、幼児教育(保育園、こども園、幼稚園)の現場でこのように「多様性」に配慮されようとしているのにも関わらず、初等教育の現場で学習指導要領に基づいた均一的な教育を目指しているという矛盾についても指摘させて頂きました(直近では
「さくらんぼ計算」など)。(ちなみに、この指定討論というスタイルも、普段は馴染みが無い、という学問の多様性も感じました♫)
自分が登壇しているところはツイートできていません。
関連して拙著も挙げておきます。