『<自閉症学>のすすめ』に分担執筆しました

この土曜日、『<自閉症学>のすすめ オーディズム・スタディーズの時代』(ミネルヴァ出版)の出版記念を兼ねたシンポジウムが早稲田大学で開催され、パネル討論第一部に登壇してきました。(書籍は4/12に出回り始める予定のようです)
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本書の編者は野尻英一先生(大阪大学)、高瀬堅吉先生(自治医科大学)、松本卓也先生(京都大学)の3名で、私はちょうど2年前に高瀬先生からお声がけ頂きました。「自閉症を共通の素材として、各学問分野への橋渡しとなるガイドブックを作る」という趣旨で、「生物学」の観点から書いて欲しいとのことでお引き受けしました。

本書の執筆陣の専門性は実に多様で、心理学(高瀬先生)、精神病理学(松本先生)、哲学(野尻先生)、文化人類学、社会学、法律、文学、生物学、認知科学の章に加え、國分功一郎先生×熊谷晋一郎先生×松本卓也先生というゴージャスな鼎談も含まれ、さらに当事者の方も含む多彩な「コラム」も含まれます。さらに、自閉症当事者書籍の一覧などもあり、引用文献も充実しています。

自分が分担執筆しているので面映いのですが、本書は自閉症そのものや自閉症研究について全体的に知りたい、日本語で学びたいという方のための必読書になると思われます。

執筆メンバーは主に「学際的自閉症研究会」および「自閉症学共創思考サロン」の方々で、シンポジウムの打ち上げでご一緒させて頂くことができ何よりでした。

シンポジウムの中でも少し触れられていましたが、19世紀は「神経症」の時代、20世紀は「分裂症(統合失調症)」の時代、そして21世紀が「自閉症の時代」として捉えられるのではないか、という考え方にはなるほどと思いました。

拙著『脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ』(講談社ブルーバックス)にも記していますが、現代社会の働き方において単純労働が減ってコミュニケーションが必要な仕事が増えたからこそ、「社会性」に注目が集まっていることは否めないでしょうね。

第一部でご一緒した神尾陽子先生は自閉症の臨床の専門家で、自閉症児の早期発見、早期介入の重要性、さらに学童期の心の健康への対応を強調しておられました。下記の図はプレゼンでも使われていた図の元になっているグラフをActa Psychiatr Scand, 2013よりクリップしたものです。
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横軸のSRSスコアというのは「自閉症の重さ」を表す指標で、神尾先生はこのなかでスコアが65-95あたりの児童が通常学級に在籍していながら、心の健康への支援が行き届いていないのではないか、ということを指摘されていました。

より詳しくは、こちらの公開されている資料をご参照下さい。


by osumi1128 | 2019-03-24 22:51 | 自閉症 | Comments(0)

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