過日、発表があって、すでに多数の報道も為されていましたが、第39回猿橋賞に東北大学金属材料研究所の梅津理恵准教授が選ばれ、授賞式に参加してきました。
猿橋賞は、海容放射能の研究で著名な成果を上げられた地球科学者の
猿橋勝子先生(1920年-2007年)が1980年に設立された「
女性科学者に明るい未来をの会」から授与される女性科学者のための賞です。自然科学分野で顕著な研究業績をおさめた50歳未満の女性研究者に贈られます。(今、Wikipediaを見ましたら、2019年分がまだ更新されていませんでした)
本学からの発表について、記録のためにこちらにも転記しておきます。
*****
金属材料研究所 梅津理恵准教授が、第39回猿橋賞を受賞しました
2019年4月15日に、梅津理恵准教授(金属材料研究所 新素材共同研究開発センター)が第39回猿橋賞を受賞しました。
女性科学者に明るい未来をの会本賞は、自然科学分野において顕著な研究業績を収めた毎年1名の女性科学者に、「女性科学者に明るい未来をの会」(1980年創立)から贈呈されます。
東北大学における猿橋賞受賞者は、小谷元子教授(材料科学高等研究所長、2005年第25回受賞)に次いで、梅津准教授が2人目となります。
猿橋賞
「ハーフメタルをはじめとするホイスラー型機能性磁気材料の物性研究」
"Study on the physical properties of the Heusler-typefunctional magnetic materials including the half-metal-type magnets"
梅津 理恵(金属材料研究所 附属新素材共同研究開発センター 准教授)
*****
授賞式には、これまでの受賞者の方々や、「女性科学者に明るい未来をの会」の関係者の方々が参集し、受賞経緯の発表、梅津先生の講演、それから、相馬先生がご尽力されたと思われる猿橋勝子先生や猿橋賞を紹介する動画と、猿橋賞受賞者で、本年1月にお亡くなりになった
米沢富美子先生を紹介する動画の上映がありました。
その後、懇親会の冒頭では、
金属材料研究所所長の高梨弘毅先生から、たいへん心のこもったご祝辞が述べられました。乾杯のご挨拶をされたのは元内閣府男女共同参画局長を務められた板東久美子様。
歓談の間、久しぶりにお目にかかれた先生方、知己の方々も多数で、参加させて頂き良かったと思いました。
下記に載せた受賞者集合写真からもわかるように、一口で「猿橋賞を受賞した女性科学者」といっても、たいへんに多様であることがわかると思います。今回で39回目ということで、猿橋賞の重みが出てきましたね。数は力だと思います。実際に、国内では多数の新聞報道に繋がり何よりでした。

惜しむらくは、まだ英語での報道が少ないことであると思います。(本学からの英語での発信はもう少しかかりますが予定しています)
実は、猿橋賞が20回を迎えた記念に、『
My Life: Twenty Japanese Women Scientists』という書籍が内田老鶴圃さんより出版されているのですが、紙媒体のみなので、猿橋賞についての英語での説明はweb上で見つからないのです。猿橋先生自体は、英語のWikipediaにも載っていて、数年前にGoogleのイメージにもなったくらい著名なのですが、猿橋賞のことは含まれていません。IT化された時代では、紙の書籍も大事ですが、検索しやすいwebに載っていないと、存在しないことになってしまいます。まずは財団のHPに英語での説明を記載することだと思います。
さて、懇親会では、ご主人からのスピーチに加え、お姉さまからのスピーチで、梅津先生が研究者のキャリアに至る以前の子ども時代からのエピソードが披露され、会場を和ませていました。印象的だったのは、奈良女子大学で修士まで進まれたのち、いったんはアカデミアから退かれた梅津先生が、お母様のご病気をきっかけに仙台に戻り、東北大学の大学院博士課程に進学し、お父様に近い道を歩むに至ったというご経歴についてでした。そこで素晴らしい師と出会い、学振PDやアカデミアポストを得て、さきがけ研究者なども経て現在、准教授となられた訳です。
3児の母として、学会に子連れで行ったり、ご主人の方のご両親にも必要に応じて支援を受けたりされたようですが、本学の
女性研究者育成支援プログラムもご利用頂いていました。ちょうど昨年は、
第1回東北大学「紫千代萩賞」も受賞され、今回の受賞へのはずみがついたのではとこっそり思ったりもしています♫
梅津先生、ますますのご活躍をお祈り致します!(画像は授賞式後に高梨先生とのツーショット)