富田博秋先生教授就任祝賀会で感じたAI医療の可能性

東北大学の精神科は100年の歴史がありますが、その第7代の教授として、富田博秋先生が昨年ご就任されたことにより開催された祝賀会にご招待頂きました。同門の先生方が多数、お集まりになっておられました。ご来賓お祝辞は冨永病院長、私、赤池医学系副研究科長より。乾杯の御発声は同門最長老の奥田先生が和やかなスピーチをされました。ちなみに、奥様の順子先生も精神科の医師をされています。
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この画像の金屏風の前でご夫婦で並んでご来賓お祝辞を頂く前に、同じ会場で富田先生ご自身による30分のご講演があり(このあたりが、富田先生らしい、こだわりのなさ、質実剛健さかと思います)、これまでの経緯や今後の臨床、研究、教育に対するご方針等を伺う機会を得たのはたいへん貴重なことでした。

富田先生ご自身は、岡山大学の精神科に入局後、長崎大学の新川先生のところで遺伝学の研鑽も積まれ、UCアーバインでは死後脳を用いた遺伝子発現解析などのご経験もあり、東北大学には曽良一郎先生が精神生物学分野を主宰されていたときに准教授としてご着任。当時、脳科学のグローバルCOEという大学院生育成プロジェクトを行っていましたが、曽良先生、富田先生にもご参画頂いておりました。2011年の震災後に立ち上がった災害科学国際研究所の教授にご昇進されると同時に、東北メディカル・メガバンク(ToMMo)にも地域の精神保健の観点から参画され、八面六臂のご活躍でした。AMEDの脳科学関係の大きなプロジェクトも推進しておられます。

今後、ToMMoに集められ、コホート調査として追跡していく情報から、各種のゲノム解析、オミックス解析が展開されますが、その研究には数理工学的解析や、深層学習等を利用した解析が欠かせません。それらをもとに新しい個別化医療が開発されることにより、予め薬の効き方を個人ごとに最適化するなどのメリットが期待されています。さらに、富田先生は、精神疾患の介入に関してもAIツールの利用などを考えておられます。
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もちろん、メカニズムの理解を追求する上で、実験動物を用いた基礎研究との連携も欠かせません。現在、東北大学にはいかに示すように、ToMMOだけでなく、臨床研究推進センター(CRIETO)、未来型医療創成センター(INGEM)、創生応用医学研究センター(ART)等が連携できる体制となっています。上記の脳科学グローバルCOEはARTの下部組織である脳神経科学コアセンターという形で続いています。
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21世紀ももうすぐ20年になろうとする現在、新たな医学の推進に数理工学やICTをどのように取り入れていくのかが鍵であることは論をまたないでしょう。富田先生が気持も新たにリーダーシップを発揮して頂くことを心からお祈り致します!





by osumi1128 | 2019-09-29 13:10 | 東北大学 | Comments(0)

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