社会的知能発生学研究会

前にもこのブログで取りあげたことがある「社会的知能発生学研究会」(略称:ソシオ)のミーティングに講師として呼ばれて、土曜日の午後に話をした。

英語ではResearch Group for Sociointelligenesisという。
Sociointelligenesisというのはもちろん造語で、Social, Intelligence, Genesisを合わせたものだ。
 本研究会は人間やロボットの知能の原理に迫ることを目的として、身体と環境との物理的相互作用や社会的相互作用、進化の役割などを探求しています。
 具体的には、認知科学、発達心理、脳科学、複雑系など、人や動物のような複雑なシステムの原理を探求する学問からヒントを得ながら、ロボットやシミュレーションなどを用いた構成論的・計算論的アプローチに基づいた議論を展開しています.

平たく言うと「ヒトはどこがどう賢いのか?どうやって賢さを獲得するのか?」といったことについて考える会、なのである。
現在の活動は、助教授・講師・助手クラスの方々が中心となっている。
研究会のメンバーであり、かつ作家で東北大学特任教授の瀬名秀明さんにお声掛け頂き、脳構築や成体脳における神経新生neurogenesisの話をしてきた次第。
もう一人の外部講師は、同じく東北大学大学院医学系研究科教授の虫明元さんだった。

トークの分量1時間にディスカッション1時間(以前はディスカッション2時間くらいだったこともあるとか)というスタイルは、昨今のバイオ系ミーティングではほとんどありえない。
しかも「<感情>は<情動>とどう違うのか?」なんてことで、タイトルスライド1枚で30分費やすなんて。
でも、本来「研究集会」なるものは、そうやって議論することが目的だったのではないだろうか?

バイオ系の学会やシンポジウムでは質問の時間があまりない。
演者の数は多くしたいし、皆忙しいし、ってことなのだろう。
もう少し内輪の研究会や懇談会でも、面と向かって厳しい質問をしたり、異なる見解をぶつけたりする場面にはなかなか出くわさない。
実は、この体質も「不正行為」の温床となったのではないのだろうか?

そういえば、RNA関係不正事件について産総研からも勧告が出たとのことだ。

ところで、ソシオの幹事会員である大武美保子さん(東大・講師)と本間敬子さん(産総研)という方がThe 9th International Conference on Intelligent Autonomous Systems (IAS-9)という国際会議の間、3月8日水曜日にWomen in Robotics, Human Science and Societyというパネルディスカッションを開かれる。
「女の子でもロボットに興味を持ってもいい」ということを、ロボット好き少女や社会に分かってもらうための取り組みについて、議論されるらしい。
男女共同参画学協会連絡会からは大坪久子先生(東大)も連絡会の取り組みについて話をされる予定。
by osumi1128 | 2006-03-05 23:01

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