本日、本学大学病院の脳神経内科(旧神経内科)を受診し、一年半ほど前から気になっていた症状に診断名が付きました。
事前に症状についてお伝えしていたので、ご高診頂いた長谷川隆文先生は受診時に、なんと文献までご用意頂いていました!
症状は、階段を降りるときのみ、右足のみ外転してしまう(外側に足先が向く)、階段を昇るときや歩くときは無症状、階段の段差が大きいと生じやすい(低い階段、段数が少ないときは生じない)というものでした。
さて、診断名は……
Down the Stairs Dystonia(もしくはStair Specific Dystonia)と言います。
日本語であれば、「階段降下時ジストニア」とでも言うのでしょうか、いわゆる「ジストニア」の一種です。ジストニアとは、筋肉の緊張の異常によって様々な意図しない運動や肢の位置、姿勢の異常が生じる状態をいいます。
Neuroinfo Japanのサイト:
ジストニア
遺伝性であったり、常時生じるジストニアもありますが、そうではない「タスク誘発ジストニア」という症状が報告されています。例えば、文字を書くとき、ピアノを弾くとき、ゴルフをするときなど、特定の「タスク」をするときにのみ、限局的なジストニアの症状が現れるというものです。局所性ジストニアと呼ばれることもあります。
例えば、ピアニストの局所性ジストニアの例は、古屋普一先生の書籍に紹介されていて、以前に読んだことがありました。
私の場合には、それが階段を降りるときのみ、なのですが、少なくとも世界に6例の同じような症例報告があると文献より知りました。
もう一つの論文は、階段を昇るときにも少し症状があるというケースレポート。
珍しい症例ということですが、患者としては「診断名が付くのは嬉しい」ことだと改めて実感しました。これで「どうしたのですか??」と訊かれたときに「タスク誘発、局所性ジストニアの一種なんです♫」と答えることができます。
基本的に、治療法はあまりありません。対症療法もありますが、局所性なのに全身に影響のある薬を飲むのには抵抗があります。例えば、文字を書くタスクによるディストニアについては、ペンの圧を変えるなど、感覚入力によってタスクからの影響を避けることができるかもしれないので、どんな靴なら大丈夫なのかなど、探ってみたいと思います。
私の症状は、現時点で日常生活に大きな不便はありません。階段を下るときには、慎重に降りることを気をつけるようにしています(昨年、英国で階段を落ちて捻挫しました……)。外出時にはやっぱり、極力、エレベーターを探します(上りは歩くようにしています)。バリアフリーの環境であるか、気づきやすくなりました。
障害者と健常者は、2つに分類されるものではなく、両者の間は繋がっていると思います。また、健常者といえども、加齢とともにできることが少なくなったりします。皆が暮らしやすい環境になると良いですね。
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本学の広報担当としては、サービス部門である大学病院の様子は種々、フォローしています。来年から診察券が替わるようです。新しい診察券のデザインは、病院のテーマカラーのオレンジですね(ちなみに、本日はハロウィン♫)。
患者さん、来院者の声の掲示もいつも眺めています。病院の皆さんが日々「カイゼン」を目指していることがよくわかります。