公財政教育支出の規模と子どもの数

11月1日付けで公開されていた財政制度審議会の資料を見ていて唸る気持ちになりました。いろいろなデータがまとめてあり、読み応え十分なものです。ここでは教育関係のことについて私見を述べたいと思います。


上記のサイトより参考資料として「文教・科学技術」についての資料がまとめられており、p3に以下の記載とグラフがありました。
○ 日本の公財政教育支出の対GDP比は、OECD諸国の中で低いとの指摘がある。
○ しかしながら、日本の子供の割合もOECD諸国の中で低い。
公財政教育支出の規模と子どもの数_d0028322_10241992.png
このような「ファクト(事実)」から「因果関係」についてどう考えるかは、一通りではないと思います。この資料では以下のように解釈しているようです。

因果関係1:日本の子供の割合がOECD諸国の中で低い==>>>公財政教育支出の対GDP比が低い(のは当然)

しかしながら、上のグラフ「公財政教育支出の対GDP比が低い」というファクトと「日本の子供の割合がOECD諸国の中で低い」というファクトの間には、逆の関係も考えられるのではないでしょうか?

因果関係2:公財政教育支出の対GDP比が低い===>>日本の子供の割合がOECD諸国の中で低い

つまり、日本では家庭での教育費が高いことによって、子供を生み控える傾向がもたらされるのではないか、という因果関係も考えられると思います。

日本ライフマスター協会:子どもの教育費いくら必要?


もちろん、合計特殊出生率の計算には未婚の女性も含まれるため、子供の数の減少には結婚しない女性の増加(男性もですが)も影響します。

「ファクトフルネス」という言葉が流行っているようですが、「真実(truth)」が何かは、よく考える必要があると思います。


by osumi1128 | 2019-11-03 10:41 | オピニオン

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