11月5日に開始した
東北大学附属図書館クラウドファンディング「漱石の肉筆を後世へ!漱石文庫デジタルアーカイブプロジェクト」は、図書館長として嬉しいことに、お陰様で初期の目標額200万円を達成し、現在、セカンドステージ、300万円超えで500万円をあと2週間で目指す段階となっています!
さて、このクラファンは多くの方々に支えられているのですが、いろいろな情報を教えて頂くことができたことも、プロジェクトの成果の一つかと思っています。
一昨日12月9日は漱石が亡くなった命日でした。神奈川近代文学館さん所蔵の写真(リンク先参照)によれば、内田百間、芥川龍之介他、多数の方々が集まった中に、東北大学の図書館長であった小宮豊隆の姿も見えます。新宿牛込町に残されていたら、第二次世界大戦で消失してしまったであろう貴重な漱石の蔵書や自筆の資料が、東北大学に3000点ほど収蔵されているのは、小宮の功績によるものです。
現在、
日経新聞朝刊に『ミチクサ先生』という小説が連載されています。これは、夏目漱石が主人公の伊集院静氏によるものです。先週末の話題は、一高時代に仲の良かった中村是公に買ってもらった『ハムレット』。その原書も「漱石文庫」に残されていました!
押されているのは柴野是公の印。当時はまだ柴野是公(しばのよしこと)という名前だったそうです。(画像は東北大学附属図書館により撮影)
さらに興味深いのは、このページの左側。(同上)
左上の隅に見えるのは、「丸屋善八店(英名Z.P.Maruya & Co.Ltd.)という印です。こちらは、現在の丸善雄松堂さんの元になった書店のものです。
実は漱石はこの他にも多数の書籍を日本橋の丸善本店から購入していたことが、多数の丸善の納品書からわかります。その数なんと20枚以上! このようなものも漱石文庫に資料として収められているのです。
さて、前述の『ハムレット』ですが、鉛筆で細かい書込みが多数、残されています。でも、それが、是公から手渡された直後に書き込まれたものか、それとも、高名な英文学者になってからなのかまではわかりません。
今後、漱石文庫資料をデジタル化した後に公開することによって、詳細な研究に使って頂けたら、そのような謎も解き明かされるのではと考えています。
図書館は単に書籍や雑誌を格納しておく場ではありません。市民の皆さんに活用して頂いてこその「智の府」であると思います。そのためにも、この度の「漱石文庫」のクラウドファンディングにご支援を宜しくお願いいたします。ご支援の金額が多ければ多くなるほど、デジタル化して公開できる資料が増えます。
もしクラウドファンディング(インターネットによる寄付)が難しいという方には、通常の「図書館みらい基金」へのご支援も受け付けています。事前にお申し越し頂けば、クラウドファンディングの「リターン」(漱石文庫グッズ等)についても、お送りすることができます。
皆様の暖かいご支援を、どうぞよろしくお願い致します。あと2週間です!
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関連情報です。
12/15(日)に仙台メディアテークで漱石文庫に関連する講演が行われます。
ミュージアムユニバース「トークとイベントの広場」
11:00-11:45 「漱石さんの魅力」仙台文学館 副館長 赤間亜生先生
仙台の東北大学附属図書館には、夏目漱石の蔵書や自筆資料を保存した「漱石文庫」があります。これらの資料からは、偉大な「文豪」夏目漱石の意外な素顔が見えてきます。素顔の漱石を知ることで、漱石作品の魅力も新たに発見できるかもしれません。(webサイトより)
この他に、14:00-は東北大学総合博物館の小川知幸先生がグーテンベルクの話題でお話されます。
ぜひお運び下さい!