新型コロナウイルス感染正念場

先週号(2/29日号)の週刊ダイヤモンド連載コラム「おとなのための最先端理科(生命科学」に寄稿したように、ついにというべきか、宮城県仙台市にも新型コロナウイルス感染者が見つかった。実際には、ダイヤモンド・プリンセス号に乗船していた70代男性で、陰性で今月20日に下船したものの、昨日(28日)、微熱と喉の痛みで医療機関に検査入院し、感染が確認された方とのこと。


現時点の日本の感染者数について、東洋経済オンラインに特設サイトができた。わかりやすいインフォグラフィックスが経時的に更新されるようになっている。
新型コロナウイルス感染正念場_d0028322_23084969.png
このグラフは毎日、厚生労働省より報告されれる感染者数の推移を表している(画像は28日時点)。検査されている実数があまりにも少ないことを考えると、細かい数字にとらわれるよりも、全体的な傾向がこの後、さらに指数関数的に増えるのか、収束するのかが日本の正念場といえる。

さて、感染が遅れて始まった日本は、近隣から学ぶことができるだろうか?

2月27日付けで中国の深セン在住の日本人の方がまとめたサイトを見てみよう。


このサイトにあるインフォグラフィックスで、時系列に沿った患者数やどのような対策が為されたのかについてまとめたものが掲載されている。これを信じるならば、深センで感染者数が20名を越えたのは1月29日のことだった。つまり、ちょうど今から1ヶ月前である(注:深セン市の人口は460万人弱)。

実は深センでは、武漢でのパンデミックの情報に基づき、毎日の感染者が1月20日に10名を越えたところで決断が為され、1月24日より公共エリアの定期消毒を開始し、春節関連イベントをキャンセル。1月26日の段階で公共エリアでのマスク着用の義務化を行い、さらにその1週間後(2月1日)からはマンション等における消毒等の衛生管理徹底化により、2月16日以降、感染者数の増加を抑え込むことに成功している。この間、春節で休校であった学校の休みを延長することも行われた。

中国に次いで患者数が多いのは韓国だ。本日(2/29)の時点で感染者数が3,150名。ちなみに、世界のリアルタイム動向はJohns Hopkins Universityのサイトにまとまっている。

この韓国での感染拡大については、特定の方がsuper spreaderとなったことが調べられている。


この図で31番目に明らかとなった感染者は、1,160名との接触があったと分析された。その接触の様子等が時系列にまとまったインフォグラフィックスがこちら。
新型コロナウイルス感染正念場_d0028322_23534462.png
1月29日にソウルでの集会に出席し、2月5日に自動車事故により大邸の病院を受診して入院。いったん、荷物を自宅に取りに行き、入院中にも関わらず2月9日には教会行事に参加。10日に発熱があったものの、2月15日にホテルでのビュッフェにてランチ、さらに教会行事にも参加。その後、新型コロナウイルス陽性と判明した。

ここから学べることは、不特定多数の人々が集まる機会に感染者が出向くと、多数の方々が感染するリスクが高まるということである(当たり前ではあるのだが……)。また、同じトングを使い回すビュッフェスタイルの会食も、リスクが大きいと考えられる。

大学では例年この時期、退職教授の最終講義があったり、春休みに相当する時期のために多数の学会も開催されるのだが、今年は軒並み中止となってしまった。だが、大規模な感染拡大を防ぐためには、今が正念場なのだと思う。

【役に立ちそうな情報サイト】
中国での事例5万人分の分析結果。
▽発熱が全体の87.9%、
▽せきが67.7%、
▽けん怠感が38.1%、
▽たんが33.4%、
▽息切れが18.6%、
▽のどの痛みが13.9%、
▽頭痛が13.6%

オリジナルレポートはこちら:


新型コロナウイルスの検査について、福島での甲状腺エコー検査との比較も含む冷静な意見は傾聴に値します。
執筆者、越智 小枝氏のプロフィール(サイトより転記):
東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座 講師
1999年東京医科歯科大学医学部卒業。国保旭中央病院などの研修を終え東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科に入局。東京下町の都立墨東病院での臨床経験を通じて公衆衛生に興味を持ち、2011年10月よりインペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院に進学。3.11をきっかけに災害公衆衛生に興味を持ち、相馬市の仮設健診などの活動を手伝いつつ留学先で研修を積んだ後、2013年より福島県相馬市・南相馬市で勤務。2017年より現職。

こちらも一般向けに読みやすい記事でした。タイトルがミスリーディングですが、著者は感染拡大を防ぐには「休校も止むなし」の立場です。
執筆者、浦島充佳氏のプロフィール(サイトより転記):
慈恵医大医学部卒、ハーバード公衆衛生大学院卒、疫学、危機管理、生物学統計などを学ぶ。小児科専門医として週5日外来診療する傍ら慈恵医大教授として新しい予防医学を開発中。

SARSとの比較、あるいは2009年に日本で流行した新型インフルエンザとの比較で、正しく恐れるのが良いでしょう。

◆日本経済新聞:新型コロナウイルス感染 世界マップ(随時更新)
こちらはJohns Hopkins大学と同様のインフォグラフィックスで日本語版。

◆Johns Hopkins University: Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE(随時更新)
英語でOKな方はこちらをどうぞ。

当院は新型コロナウイルス感染症の外来診療を行う病院ではありません。
以下に該当する方は、受診をする前に、仙台市・宮城県の電話相談窓口(コールセンター)にご相談ください。
2週間以内に、発熱やせき・息切れがあり、
■新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域への渡航歴がある
■『新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域への渡航歴があり、発熱かつ咳がある人』との接触歴がある
■新型コロナウイルス感染症と確定した患者と濃厚接触歴がある

◆YouTubeに上がったBBC監修のビデオ(日本語字幕付き):新型コロナウイルス、自主隔離でやるべきこと(2020.2.28)
とてもわかりすいので、ぜひ一度、御覧ください。
もし家族が感染者となっても慌てないで!

◆個人ブログ「ボン先輩は今日もご機嫌」:イタリア新型コロナ:休校中の校長が生徒に送った手紙が秀逸!と話題(2020.2.28)
校長先生が17世紀にミラノを襲ったペストについての言及がある古典から現状を説明している。以下引用。
外国人を危険と見なし、当局間は激しい衝突。最初の感染者をヒステリックなまでに捜索し、専門家を軽視し、感染させた疑いのある者を狩り、デマに翻弄され、愚かな治療を試し、必需品を買い漁り、そして医療危機。
奇しくも、拙連載コラム記事も導入部でペストについて取り上げていました……。冷静に行動したいものです。
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by osumi1128 | 2020-02-29 22:59 | 新型コロナウイルス | Comments(0)

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