ウィルト発生生物学
2006年 03月 10日
自分にとって、翻訳ものとしては、これで4冊目となる。
小学生くらいまで、両親のお仲人さんの先生のお宅にお年始に行く倣いだったが、その先生は沢山の本を書かれていた。
「出した本を積み上げると自分の背丈くらいになる」というお話に、妙に感動を覚えた。
ご本人からではないが、気になることをメモ書きしたり、ネタになる論文の要旨をコピーして、書類の整理棚に入れておいて、ある程度溜まると本をお書きになるのだ、というように聞いたことがある。
同じようなことを、すでに何冊かの専門書を書いている友人は、コンピュータの中のメモ書きでしていた。
いつの頃からか、「年に1冊本を出したい」と思うようになった。
今のところ、著作だったり翻訳だったり、さらに単著だったり分担だったりするが、なんとかそんなペースになっている。
自分の背丈を超えるくらいの厚さになるのはいつ頃になるだろう。
ところで、発生生物学の教科書といえばScott GilbertのDevelopmental Biologyが定番で、こちらは現在、第8版になる。
確か第3版あたりの翻訳本が出てから大分経つが、版権等のトラブルで最新版は今だ翻訳されていない。
今やほとんど百科事典状態になっていて、軽かった昔が懐かしい。
Scottが全編執筆しているので、統一が取れている。
Lewis WolpertによるPrinciples of Developmentという本もあり、こちらの方が癖はあるがちょっと薄い。
図が綺麗で、英語版はwebからの図をdownloadできる点が、インストラクターには有り難い。
Molecular Principles of Animal Developmentという本もあるが、こちらは動物関係のみで、分子生物学的知識が豊富。
Wilt & HakeのDevelopmental Biologyは「読み物風」なところが良い。
知識の羅列というよりも、何を知りたくて、どんな実験をして、どういう結果が得られたのか、という研究の流れを重視している。
植物のこともしっかり書かれている。
若干軽くなるのがJonathan SlackによるEssential Developmental Biologyで、第1版を翻訳したが、現在第2版が出版されたところだ。
第1版は白黒のシンプルなところが気に入っていたが、第2版は世の中の流れのせいか、4色刷になっていた。
複雑な模式図を表そうとしたり、綺麗な画像を載せたいとすると、どうしてもカラーに頼らざるを得ない。
中身もだいぶ、新しく書き換わってもいる。
これから第2版の翻訳に入る。