東北大学のCOVID-19対策はOne Teamで

昨日、東北大学では感染症行動指針がレベル4に上がりました。

これまでの対応についてのアーカイブや、学生、教職員へのオンライン授業対応などをまとめたサイトも公開しました。

(BCPはBusiness Continuity Planの略で、日本語に直すなら事業継続計画。災害などの緊急事態に遭遇した場合において、リスクを最小限に抑えつつ研究や学業を続行するための対応のことです。)

COVID-19への対応は、まず1月30日に注意喚起の発信を行いました。

その後、2月3日、2月6日・・・と立て続けに注意レベルを上げています。

3月3日に総長を本部長として新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げました。(議事メモ
(各部局には、それぞれ部局の対策本部を設置するように要請されています。)

これまでのまとめについては以下のページを御覧ください。


さて、本日は上記感染症対策本部の末席に位置する者として、もう少しだけ踏み込んだ内情についてご紹介したいと思います。(以下、画像は直近の金曜日のもので、プライバシーに配慮して一部加工しています。)
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上記の「対策本部」は、いわばオーソライズするための組織ですが、実は、今、毎日、総長、プロボストと関連理事、本部事務機構長以下、関連の職員が定例の「対策班会議」を開いています。会議は教育・学生支援部の置かれる川内キャンパスともオンラインでつなげ、さらに厚労省のクラスター対策班に関わる先生方にも遠隔で参加して頂いています。それぞれのオフィスにいる関係者や、テレワーク対応の職員などもGoogle Hangout Meetで集まります。

初日は週末で、本学で仙台市のクラスターの濃厚接触者がいることが判明し、その学生の隔離方法や、さらなる接触者の調査などについて議論が夜中まで為されました。私は自宅からオンラインで参加しました。その日から、午前11時、午後5時からの対策班会議が定例となりました(今週からは午前のみ)。

対策班のヘッドクォーターは本部の会議室ですが、多数のホワイトボードが持ち込まれ、次々に情報が更新されていきます。同時に、ホワイトボードは画像として共有ドライブ上にアップロードされ、遠隔で参加する方々とシェアされます。会議室は窓と出入り口は開け放ち、換気を良くすることにも配慮。桜が開花したのに、ここ数日は肌寒い日が続いて、ストーブも持ち込まれました。

感染者が判明した後、まずその学生やその接触者も安全なところに移送することが必要でした。どこに移すのか、具体的にどのような手段で移送するか、隔離の間の食事の支給をどうするか、それを誰が実際に行うかなどの問題もあり、対策班からのお願いにより、学生の指導教員や職員などが快く対応してくれました。まさにONE TEAMの対応と思いました。(この画像ではやや奥行きが詰まった印象になってしまっていますが、実際には、マスクを着用し、social distanceを保っています。)
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同時に、学歴の忙しいタイミングでもあったため、大学全体として学位記授与式のやり方を変え、入学式を中止し、授業の開始を4月20日に延期し、すべての授業をオンラインで行う方針を立て、その具体的な方法の構築(実際には学部や研究科ごとに異なる仕組みで対応)や、周知徹底を行う必要もありました。広報室では毎日、HPの新規更新を行うとともに、社会連携課のご協力により、上記のように新たな新型コロナウイルスBCPサイトも立ち上げ、本当に目まぐるしさがマックスの2週間でした。
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また、感染者や濃厚接触者である学生のメンタル面についての配慮なども検討事項であり、さらにどのようなタイミングで戻ってもらうのが良いのかなど、保健所の方針や感染症の専門家の先生のご意見も踏まえて、一つ一つ、方針を立てていく必要がありました。


すべてがいわば「未曾有の体験」であり、私たちは9年前の東日本大震災の頃を、嫌でも思い出しました……。

当時と異なるのは、各種のオンラインツールがあることです。離れたキャンパス間、東京におられるクラスター対策班の先生ともオンラインで議論ができるのは有り難いことです。日本で遅れていたオンライン化が、新型コロナウイルスのせいで一気に進みました。

しかしながら、もう一つ違うのは、9年前よりはるかにグルーバル化が進んだ現代社会において、COVID-19への対応はどのくらいの時間がかかるのか予測が困難であることです。震災復興は、どんなに時間がかかっても復興という方向は明確でした。

人類の歴史は感染症とともにありました。最初にワクチンが作られた天然痘は、周期的に人類を襲ったことが歴史に記されています。その周期がグローバル化した世界ではどんどん短くなり、いったんは収まったかに見えても、世界中のどこかで感染が拡大すると、またそれがあちこちに飛び火することに繋がります。

私たちはどのようにこのやっかいなウイルスに対応していくのか、先が見えない中で毎日、必死に考えています。

東北大学では現在、7つほどのCOVID-19対策関連プロジェクトを立ち上げたところです。また追ってご紹介できると思います。




by osumi1128 | 2020-04-18 12:23 | 東北大学

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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