本日、残っていた一都一道三県も緊急事態宣言が解除になりました。とはいえ、4月7日以前の状態に戻る訳ではありません。「ニューノーマル」な日常を模索することになりますね。
この緊急事態宣言の間に何度も繰り返された「
新しい生活様式」というキャンペーンに、周囲では思いの外、反発があることに気づきました。「日々の生活」というパーソナルな事柄に関して、上から押し付けられることへの抵抗でしょうか。あるいは、やたら細かく、具体的な指示(人と人の間は2m空けようなど)にもカチンとくる方が多いようです。
ですので私は「ニューノーマル」という語感の方が良いと思っていますが、よくよく考えると、ここで言われていることは、実はそんなに「新しい」訳ではないのです。(なお、New Normal自体は今回、初めて提唱されたのではなく、2003年のITバブルの折に米国で最初に使われたようです)
厚労省のサイトでは、一人ひとりの基本的感染対策として①フィジカルディスタンス、②マスク着用、③手洗いを挙げ、さらに「移動制限」や「密集、密接、密閉の回避」などが掲げられています。
「手洗い励行、マスク着用」は、日本ではいわゆる「スペイン風邪」の流行時にも提唱されました。そのために、日本の感染者が少ないのではないか、という分析も為されています。「空気の悪い混んだ場所は感染リスクが高い」ということも、SARS-CoV-2だけでなく、普通のインフルエンザの感染についても知られてきたことです。さらに遡れば、「サナトリウム」と呼ばれた結核患者を隔離する施設は、日当たりや換気に気をつけ、患者はひたすら栄養摂取や睡眠により「養生」に務めたのでした。
日本の「ニューノーマル」でもっとも大事なのは、満員電車を避けた時差通勤や、テレワークで出勤日を減らすこと、オフィスは広々とした環境にすること、少しでも具合が悪いと感じたら休業するかテレワークに切り替えることなどではないでしょうか? これらが感染のリスクを減らすともに、ストレスを減らすことにもなると思われます。
私が所属する東北大学では、これまで実現が難しかった「テレワーク」がCOVID-19のために達成されました。さらに先日、
「事務のオンライン化」についての宣言が為され、事務手続きのペーパーレス化や押印廃止を推進することを6月から本格化させることになります。テレワークの間に、書類の押印がネックで出勤しなければならないことを止めることになるのです。
最先端の研究を行っている大学ですが、各種の事務作業は脈々と続く「紙ベース」のお作法がありました。私が助手の頃は(……遠い目)伝票は手書きで間に2枚、カーボン紙を挟んで記入し、押印して事務に提出。さらに判子が3つか4つついて処理されるという具合。それが、エクセルで作られたフォーマットを使うようになって、PC上で作業できるようになったにも関わらず、相変わらず印刷して判子をついていたのです。さぁ、それがどのように変わるのか、とても楽しみです。
各種の会議は完全に今、オンラインで行っているので、会議資料も紙ではなく、ファイルの共有で為されます。建物間だけでなく、キャンパス間の移動もなく、おそらく大学全体でのタクシー代なども大幅に減っているはずです。出張で新幹線を使うことが日常であったものが、オンラインなので、学会の総会などもむしろ出席率自体は高いくらい……。
おそらく、以前の生活には戻らない、戻れないと思います。
オンラインで二次元のコミュニケーションが多くなる日常だからこそ、リアルなやりとりは貴重だと感じます。