オトシブミの揺籃
2006年 03月 12日
オトシブミについてのサイトを見つけたので、ここに詳しく書いてあるのだが、ややダイジェスト版でその産卵行動を記す。
1)まず、卵を産み付けようとする葉の縁づたいに歩いてチェック。
2)葉の基部に上がり、主脈を残して葉を横に切る。
3)葉の裏側に回わり、主脈の辺りに噛み傷を付ける。
4)葉を両側から挟んで折り目を付ける。
5)葉を巻き始め、底の部分を細かく折り込む。
6)2,3周巻いたところで、巻き込んだ葉の中心部を噛んで孔を開ける。
7)産卵。通常は1個。
8)さらに葉の基部まで巻き上げる。
9)内側の葉を引っ張って蓋にする。
10)基部の主脈を噛み切って巻いた葉を落とす。これでオトシブミの揺籃完成。
このサイトに書かれたことによれば、葉を切り始めてから2時間程度の作業らしい。
ご苦労様なことである。
1匹の雌が一体これを何回繰り返すのかは書いていなかった。
オトシブミの近縁にチョッキリという昆虫があり、こちらはドングリなどの木の実に孔を開けて産卵した後、その実をチョッキリと切り落とすのがその名前の謂われだが、中には葉を切って産卵するものや、揺籃を作るものもいるという。
昨日のエントリーにも書いたのだが、このような生得的な行動というのは、どんなプログラムになっているのだろう?
順序だった行動をやり遂げるには、どのくらいのメモリが必要なのだろう?
そして、種によって少しずつ行動に差が認められるのは、どこがどんな風に書き換わっているのだろう?
オトシブミとチョッキリのゲノムを比較したら、どんなことが見えてくるのだろう?
進化の過程で、オトシブミは手間暇かけて少ない卵を産むという戦略をとって成功した。
チョッキリには、生葉を食べられるようになって、葉を枯らせる必要がなくなったために、葉を加工せずに産卵するものもあるという。
このとき、生葉の毒素(多くの植物は食べられないようにするために、アルカロイドなどの毒素を作る)を解毒できるように進化したのは、突然変異でたまたま酵素の性質が変わることで説明がつくように思うが、じゃあ、もう主脈を噛んで葉を枯らさなくてもいいじゃない?と気づいたチョッキリの省エネ作戦は、どのようにして次世代に伝わるようになったのだろう?
たまたま、怠け者のチョッキリがいただけなのだろうか?
個体が生まれてからのゲノムの修飾はどの程度あり、それによりどんなことができるのか、擬態をする側とされる側のゲノムに類似のプログラムは書き込まれているのか、ゲノムはまだまだ謎がいっぱいだ。