学会2日目(3月21日分)

最初に目が覚めたのが朝4時くらいだから、時差調整としてはまあまあである。
とにかく寒くてしばらくベッドから出られなかったが、やたら柔らかいベッドで横になっているのも疲れて、6時前から起き出して学会後の訪問先でのセミナーのPowerPointの準備をする。
ラボに電話をして秘書さんを呼び出そうとしたら、学生が出て「先生、日本は休日ですよ」「じゃあ、とにかく無事に着いたと伝えておいて」
インターネット環境が非常に不親切で、電話線でつなぐか、英語しか使えない共通コンピュータを借りるかなのだが、それにもお金かがかかる。
やれやれ・・・

イギリスに来たときにいつも思い出すのは、部屋で紅茶を入れようとしたときのエピソード。
イギリスの宿泊施設は、高級ホテルからB&B、はてまた今回のような大学の寮に至るまで、部屋に「お茶セット」が備え付けられている。
もちろん、日本茶ではなく、紅茶のティーバッグとインスタントコーヒー、お砂糖、小さなカップに小分けされている常温保存可能なミルク、そして、お湯を沸かすポットがセットになっている(これに、ショートブレッドなどのクッキーなどが付随する場合もあるのだが、今回は無かった)。
このポットの凄いのは、あっという間にお湯が沸くことだ(偉いのはポットではない。電圧が2倍だから)。
初めてこのポットに出会ったとき、水を入れてセットしたのはよいのだが、電源プラグを三口のコンセントに差し込み、スイッチを入れてもウンともスンとも言わない。
かなり悩んだがその日は諦めて、ホテルの客室係宛にメッセージを残した。
「すみませんが、ポットが壊れているようです。他のものに変えて下さい」
次の日部屋に戻って、さあ、お茶を入れようと思ったら、同じことの繰り返し。
がっかりして、またメイドに「あのー、ポットが使えないのですが、壊れてませんか?」と聞くと、「壊れていません。電源はこのようにして入れて下さい」と教えてくれた(あんたの使い方が悪いのよ、このお上りさん、とは言われなかったが)。
イギリスのコンセントには安全のために「スイッチ」が付いているということを知らなかったのだ。
プラグを差し込んだだけでは駄目で、そのスイッチもオンにしないと電源として使えない。
その土地それぞれで違うものである。
今回泊まった大学の寮では、スイッチに「ON」という表示が出るようになっていて親切だった。

朝ご飯はカフェテリアでEnglish breakfastを頂いた。
普段は朝は食べる状態にないのだが、さすがに時差で早起きしているので、7時半にはお腹が空いている。
イギリスの食事はまずいというのが定評であるが、朝ご飯はwarm breakfastといって、「三食、朝ご飯を食べるべき」というジョークがあるくらいだ。
もっとも最近の人たちは簡便化と健康のために、シリアルと果物だけなどで済ますことも多い。
私のチョイスは、オレンジジュース、スクランブルエッグ、ソーセージ、ビーン、そして、あの訳の分からない茶色い代物、あと、ポテト。
これに、気分で果物、パンもしくはシリアル、コーヒーか紅茶。
普段では考えられない朝食風景である。
それにしても、いつも思うのは、日本は食べ物がデリケートではあるが、とにかく量が少ない。
外国から来た人には物足りないだろうなあといつも思う。

学会は今日からが本格的なスケジュール。
BSDBとBSCBにより2つの会場で30分のinvited speakersと15分のshort talksが組まれている。
会場は午前午後で交互になっているのと、コーヒーブレイクが30分取ってあって、その会場がポスター会場にもなっているために、それぞれの学会の参加者が入り交じることができる。
なかなか参考になるスタイルだ。
今回の目的はどちらかというとstem cell biologyを勉強しに来たので、シンポジウムはだいたいそちらの方を聞くことにした。
日本からは理研CDBの方が数人くらいで、cell biologyの方の方は知っている人があまりいなかった。
日本人の多い国際会議は何しに行ったか分からないようなので、このくらいが丁度良い。

ランチは、何種類かのサンドウィッチ(味のしないパサパサしたパンに、ツナとか卵とかハムとかを挟んだだけの代物)に、何種類かのタルト、それに飲み物を取って、ポスター会場で食べる形式。
企業展示もブースにはなっていなくて、適当な机の上にカタログやら見本やらを広げているだけで、恐ろしく簡素。
商業化された最近の学会展示に慣れてしまっていることを痛感した。
by osumi1128 | 2006-03-24 23:36

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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