ヨークからエジンバラへ(3月23日分)

数日遅れのエントリーで、実際は今ロンドンにいるのですが・・・
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朝は3時頃から寮の中でやたら人の声が響き、出発の早い人たちが、3時台、4時台に次々と出ていった模様。
お陰であまり熟睡できなかった。
今日の午前中までが学会だが、やはり最終日というのはちょっと寂しい雰囲気である。

12時過ぎにセッションが終わり、ランチはテイクアウト用にセットされたものをもらって、タクシーを呼んでヨーク駅まで。
ちゃんと来てくれるか心配だったが、大学構内までちゃんと迎えに来てくれた。
小さなことだが達成感がある。よしよし。
ヨーク駅で切符を買う。
エジンバラまでは2時間半くらいなので、1st classにしたが、77ポンドと比較的お買い得。
駅のカフェテリアでコーヒーを買ってサンドイッチを食して時間調整。

ちょうどヨークに来るときに乗ったのと同じ線がエジンバラやその先のインバネスというところまでつながっている。
そうそう、この列車というのは「ハリーポッター」のモデルになった路線である。
物語ではキングズクロス駅の9.5番線から発車することになっていたはず。
そこから北へ向かってスコットランドのどこかにホグワーツという魔法使いの学校があるという設定。

地下鉄は別として、ヨーロッパの駅には改札がない。
列車の中で検察があるので、必要ないということだろう。
こういう点も、日本は「内需拡大」的文化だと思う。
随分昔に、まだ日本での生活に慣れていないタイからの留学生と新宿駅で待ち合わせをしたことがある。
今から思えば、そんな無謀な約束にはしなかったのだが、当時の私は「外国人の目で見たニッポン」という視点に欠けていたのだ。
「新宿駅西口地下の改札」といえば一つしかないのだが、彼女には「改札」という概念がなかった。
「Exit?」というので「Yes」と答えてしまったのが間違いだった。
新宿西口から地上への「出口」は一つではない。
今なら便利な携帯電話によってこういう悲劇は救われるだろうが、15年以上前のことでどうしようもなく、1時間ほどお互いに彷徨って、結局その日どこかに連れて行ってあげる予定はご破算になった。

「眺めが良いから、進行方向右側の座席に座るべし」とエジンバラの友人からは言われていたのだが、1st Classでさえ満席に近い状態で右側には座れず、四人席の左側で、進行方向とは反対向きの通路側の席になった。
斜め右の恰幅の良いおじさんはテーブルにビールを置き、新聞のクロスワードパズルを解いている。
これも外国的気分になる光景だ。何故日本の新聞にはクロスワードパズルがないのかというと、満員電車で広げて書き込むのが不可能だからだろう。
週刊誌にはパズルが載っていることが多いが、それも実際に解いている人を見ることはあまりない。
逆に外国で見ないのは「漫画週刊誌」である。
浮世絵の頃から、日本人大衆はビジュアルな文化に慣れ親しんでいるということか。

通路を挟んだ右側には、向かい合わせに席が1列に並んでいるのだが、白髪のオバサマは何故か進行方向と反対側に座って、やはり新聞を読んでいる。
ちなみにGNERの1st Classでは新聞、コーヒー、紅茶、ミネラルウォーターと簡単なスナックの無料サービスが受けられる。
日本の新幹線のグリーン車よりゴージャスなサービスだ。
コーヒー、紅茶のカップは陶器製でテーブルの上に予めサーブされているので、列車が揺れるたびにカタカタと鳴る。
そういえば、学会のコーヒーブレイクのときのカップもディスポーザブルではなく陶器だったのは、エコロジーを考える為なのか聞き損ねた。

ヨークを出発し、車窓からはのどかなイギリスの田園風景が広がる。
比較的平地が多く、なだらかな丘陵が緑なのは麦の栽培だろうか。
ダーラムという町を過ぎるあたりで、斜め向かいのおじさんが「あれをご覧なさい」と指さす方向には立派なカテドラルがあった。
隣のお婆さんは「教会の中に大学もあるのよ」と言っていた。
車内販売兼サービスのワゴンは何度も行ったり来たり。
お婆さんは何杯目かの紅茶を頼むのに「ミルクは後にしてね。イングランドの人たちはミルクが先だけど」と言う。
曰く「ミルクが先だと余計にミルクっぽい味になる」のだそうな。
ニューキャッスルの町も可愛らしい煉瓦造りの建物が並んでいて、なかなか美しい景色だったが、その後うとうとして目が覚めたら、海の近くを走っていた。ちょうどイングランドとの境をスコットランド側に超えたあたりだろうか、水が蒼くていかにも北の海の雰囲気だが、とても目に和んだ。

無事にエジンバラの駅で下車し、タクシーで訪問先のGeneral Western Hospitalに到着。
Human Genetics Unitの受付で、2年ぶりに会うVeronicaとハグしたとたん、移動の緊張がほぐれた。
ここからはアテンドして下さる人がいるので安心だ。
by osumi1128 | 2006-03-27 04:49

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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