Nature Digest日本語編集版
2006年 06月 11日
先週、先々週と忙しかったこともあり、数冊溜まってしまって、しばらく経ってからNature Digest日本語編集版2006年6月号を開いた。
チェルノブイリの原発事故と原発の未来、という特集も興味深かったが、NEWS@NATURE.COMというコーナーに、"Lingerie makes hagglers happy-go-lucky"というタイトルの記事が載っていた。
Haggleは「しつこく値切る」という意味で、「セクシーな写真やレースの下着を見ると、男は利益に執着しなくなる」という副題が付いている。
この記事の元論文はProceedings of the Royal Society Bという雑誌にベルギーの経済学者が投稿したものということになっているが、同じような研究は繰り返し出てくるような気がする。
このネタをどう料理してブログに書こうかとサーチしていたら、すでに取りあげられていた。
タイトルはレクサスのディーラーと美女という。
うーん、負けましたな。
しかも、レクサスのカウンターにずらっと並んだ5人のうら若き美女の写真付き。
このあたりがブログの面白さ、ですよね。
(しかも、非常に斬新なデザインの白い胡蝶蘭のフラワーアレンジメントとともにーーあ、これは女性購買層向けなのかしらん?)
是非ご覧あれ。
(レクサスがそういう売り方をしているというのは噂には聞いていたが、分かり易い戦略ですね・・・)
さて、私は違うツッコミをしようと思うのだが、(元論文を読まずにNatureの記事だけで話をすることをお許しあれ)、この論文で「高テストステロン男性」の判定は、なんと「人差し指と薬指の長さの比」で判定している(らしい)。
これまた、元論文まで完全に行き着かなかったが、週刊文春に連載されている竹内久美子氏のコラムで読んだ気がするし、ウェブ上ではかなり引っかかってくる。
どうも複数の論文が出ているらしく、しかも、血中のテストステロン量を測定するのではなく、「攻撃性」や「同性愛傾向」等を「問診」して相関関係を示した論文が多い(ようだ)。
※あっと、また地雷ゾーンに足を踏み入れました。
このあたり、生物学者として社会学系の研究に???という気持ちを持つのだが、本当にそうなのか、ヒトを対象とするのであれば、万のオーダーの調査をして頂きたい。
そうでなければ、単なる「おもしろ系生物ネタ」どまりに扱うべきと思う。
・・・で、本日の本当のツッコミはそこではない。
ベルギーの経済学者さんの論文の主張は、「広告主がセクシーな女性に商品の宣伝販売を頼る訳」を説明できるかもしれない、ということらしいのだが、そんなマッチョな男性ばかりでコアが構成されている社会って、大丈夫なんですか?
♂社長「別に、会社の重大事項の決定においては、問題にはならん」
あ、でも、もしかして、取締役会にセクシーな女性が加わったりしたら、判断が鈍るってことでしょうか?
♂社長「い、いや、取締役会に参加するような女性はうら若き乙女ではないので、だ、大丈夫だ」
男女共同参画が進まないのは、無意識レベルにこんなことがあったりして・・・
ちなみに、私が以前読んだ似た論文では、「ゲーム前に女性の写真等を見せることで太っ腹になって大きく賭ける」という結論だったのだが、ベルギーの経済学者さんの方は、「高テストステロン男性は大きな分け前を狙う行動に出がちだが、セクシーな女性を見た後には金銭的要求を最もゆるめやすかった」となっていて、微妙に異なる。
その解釈として「少しでも金銭はあったほうがいいので、セクシーな女性やランジェリーを見ると、男性は経済的により合理的になるといえる」と結んでいる。
本当に合理的な行動を取れるようになるのなら、共同参画的にも好ましいんですけど。