杜の都女性科学者ハードリング支援事業

新興振興調整費の問題で開始が遅れることになりましたが、東北大学の女性研究者支援事業が正式に発足となりました。
河北新報でも取り上げて頂きました。

この事業では3本柱として、両立支援、環境整備、次世代育成ということを掲げています。
その中の「次世代育成」では「サイエンスエンジェル制度」というネーミングの新しい取り組みを行おうとしています。
こちらについてすでに7月6日にご紹介しましたところ、以下のようなコメントを頂きました。
大隅先生 はじめまして。
いつもblogを楽しく拝見させて頂いております。
さて、私は女性で研究者ですが、残念ながらこの「サイエンスエンジェル」というネーミングには非常に違和感を感じています。
女子学生のためのロールモデルを・・・という試みには賛成しますし、多くの人の関心を呼ぶには分りやすいキャッチフレーズが有効なのも理解できます。でも、もし自分が大学院生でこの仕事をやれといわれたら、間違いなく憂鬱な気分になるでしょう。学生だったら、そんな
ちゃらちゃらしたイベントをやっている大学はまず敬遠するでしょう。
チャーリーズ・エンジェルをイメージされているとのことですが、「男性の目から見た戦う女性の理想」という雰囲気をぬぐい去れない気がします。
「自分は日々戦っている」と思っている女性研究者は少なくないと思いますし、大隅先生のご自身に対するイメージが「チャーリーズエンジェル」であったとしても、それは先生の自由です。しかし、それご、科学を目指す女性たちのシンボルとしてふさわしいのかどうか、疑問に思います。私は、あまのじゃくなんでしょうか?
先生のご意見を伺えれば幸いです。


これに対して、「でも、あっという間に40名のサイエンスエンジェル候補者が応募してきました」ということをコメントバックしたのですが、さらに以下のようなコメントを頂きました。
ご返答ありがとうございます。
自分は就職して以来、この手の人寄せパンダ企画にしょっちゅう引っ張りだされた経験があり、「女性がトップになる時代が来れば、こんな不愉快な思いをすることも無くなるに違いない」と希望を抱いていました。
それで、この企画を新聞で読んだ後、大隅先生が命名者だと知って、いすから転げ落ちるくらいびっくりし、また失望しました。
物事の捉え方は、人によって異なるものだと実感しましたが、ほんの少しでも、「いやだ〜」と思う女性の気持ちがわかりませんか?
あるいは、わかりたいと思いませんか?
まあ、ミスコンでさえ応募者がいるから成り立つのですから、「エンジェルになりたい」と思う女性研究者がいてもおかしくはありませんが。


この方の言われる「客寄せパンダ」という意味は理解できます。
それが許せないとか嫌いという方も多いと思います。
ただ、私としては、同じ「次世代育成プロジェクト」を行うのであれば、皆で楽しくやりましょう、というスタンスです。
エントリーでも述べましたが、サイエンスエンジェルという命名は、申請書作成の段階でWGで検討して合意されたものです。
もともと「エンジェル」は女性を意味する訳ではないのですが、自らロールモデルともなる女子大学院生たちに何かのネーミングを与えたい!という気持ちで、皆で知恵を絞った中から生まれた造語です。
(私は、ロゴやネーミングは、その思想や価値を端的に伝えるものとして、重要であると思っています)
私のブログのエントリーの中に、とある方から「チャーリーズエンジェル」を連想させる、というご意見を頂いたことを書きましたが(註:私自身の発想ではありません。念のため)、これはこれで面白いと思ったのですが、他のWGの方からは却下されました。
要は、SAとなった方々が、自身がロールモデルとなりつつ、またシニアの女性研究者との交流を深めてもらい、横のネットワークを構築して頂いて、「頑張ろう」という気持ちに鳴って頂ければ、私たちのプロジェクトとしては成功だったといえると思っています。

したがいまして、Q-tipさんが「客寄せパンダ」として不愉快なご経験をされたと思われることは同情いたしますが、今は、先駆者としては少々、そのような事態も我慢して、なんとか次世代を育成すべきときなのではないかと、個人的には思っています。
ご本人としては嫌々なのかもしれませんが、「女性が講演をした」ということだけでも、若い世代に「私もできるかも」と思ってもらえるような大きな意味があるのではないでしょうか。
もちろん、このようなことは、皆が無理矢理しなければならないという意味ではなく、「まあ、仕方ないか」と思われる方にどうしてもお鉢が回るのでしょうが。

東北大学のこの取り組みについては、河北新報というローカル紙で上記のように扱われました。
また、7月28日の東北大学オープンキャンパスでは特別イベントも企画されており、すでに女子高から多数の参加予定者があるという連絡を受けています。
報道関係の取材もあるやに聞いています。
最終的にどのような反響になるのか楽しみにしています。

PS:東北大学のトップ頁に女性研究者支援事業の「バナーリンク」が付きました(このブログからも東北大学のリンクに飛べます)。
たったこれだけのことでも、学内の手続き等でいろいろあったのですが、でも時限ですが一番のトップ頁からのリンクというのは、非常に大きな意味のあることと思っています。
東北大学は女性研究者の育成を支援しています!!!
by osumi1128 | 2006-07-18 00:55

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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