日米先端工学シンポジウムリハーサル
2006年 09月 02日
昨日はCyber securityとOrganic electronicsというセッションがあり、ウェブ改竄をどんな風にwatchするか、とか、ぐるぐる巻ける液晶モニタができたら、などというお話を聞いた。
今朝は自分担当Biomechatronicsのセッションのリハーサル。
お呼びしたスピーカーは東大の大武美保子さんと東工大の小池康晴さんだが、小池さんはリハーサルには参加できず。
大武さんにはbiomechatronicsについてのイントロの後に神経筋ネットワークや脳内神経ネットワークのシミュレーションのお話をして頂いた。
なんと、統合失調症のネットワークモデルを立てておられるのは知らなかった。
今度もっと詳しく伺ってみたい。
今年はもう一つややバイオ系のシステムバイオロジーのセッションがあり、こちらは理研CDBの上田さんにオーガナイズをお願いしたところ、東大の竹内さんという、もともとマイクロマシン系の方で、今は細胞くらいの大きさのリポソームを作ったり、そこに膜タンパクを埋め込んだりという興味深いお話。
このセッションでは「細胞は作れるか?」というあたりまで踏み込んだ話が聴ける模様。
この企画に関わるのはこれで3回目になる。
ちょうど5年前に東北大学の医工学COEが始まって、図らずも巻き込まれてしまったことがもとでセッションチェアのお声がかかった。
若手の異分野交流の会なので、そろそろ引退したいと思うが、こういう面白い話を聴ける機会は捨てがたい魅力がある。
私が思うに、一般論としてエンジニアサイドの方の発表の方が分かりやすく魅力的である。
一つには、工学は実学であり、しかもエンジニアサイドの方の半数弱は企業の方なので、プレゼンそのものが分かりやすいということがある。
例えば、サイバーセキュリティーに関してなら、私も日々ウェブを使っているので、細かいことは分からなくても、その対象は身近であるし、有機エレクトロニクスなら、その材料は人や地球に優しいのだろうか? というツッコミも入れることができる。
これに対して、生物系、中でも分子系の分野は、共通のバックグラウンド(細胞とか、ミトコンドリアとか、転写因子とか)がなく、話がとても抽象的で難しいことが多いということである。
見慣れない組織や細胞の画像を見せても、どこが見るべきポイントなのかわかりにくいし、電気泳動のバンドパターンのあり、なしは分かっても、その解釈には数段階の説明が必要だったりする。
ITリテラシーのレベルも平均的には高くないので、分かりやすいムービーなどを盛り込めないということもあるかもしれない。
同じ土俵の学会や班会議ならそれでもよいのだが、分野を超えた枠で競争的研究費を取ろうというような場合に、これは大きく不利に働くだろう。
まずは自然科学系他分野の人にも分かってもらえるように話すということがアウトリーチの第一歩かもしれないと思う。
追伸:将来を担う若手研究者として東北大学のサイエンスエンジェル達を育てるのに、まずはプレゼンのお作法セミナーをし、その上で互いに自分の研究の紹介をするというのも丁度良いかもしれない。
みなそれぞれ分野がいろいろなので。
また、そういう横の交流の経験は、きっと将来役に立つときがくるはず。