高市早苗大臣

昨晩から本日昼まで、かなりまとまった雨となった。
夜にNHKのニュースを見ると、収穫直前の稲がなぎ倒され、水に漬かってしまった様子が映され、心が痛んだ。
数ヶ月かけて育てた作物が一晩でこういう状態になるというのは、さぞかし辛いことだろう。
日本ではこの時期に雨が多いので、葡萄も水っぽくなるために、良いワインが作れないという話を聞いたことがある。
作物にしろ、人にしろ、育てるというのは本当に大変なことだ。

*****
安倍新内閣の顔ぶれが決まったが、猪口大臣の後を継がれたのは高市早苗さんということになる。
ただし、猪口先生が「少子化・男女共同参画担当」であったのに対し、高市さんは「北方領土・沖縄、科学政策、少子化、男女共同参画、食品安全」と盛りだくさんなことである。
まあ、男女共同参画学協会連絡会として押さえておきたい大臣が、先の内閣では松田大臣と猪口大臣だったのが、一人で片づく、というのは有り難い。

いずれ面会の日程調整はお願いするとして、どんな方なのかネットサーチしてみたところ、まずホームページが見つかった。
お若いのに、自民党で、もう衆議院を4期務めておられるらしい。
自分と同世代の女性が大臣ということは、さらに若い世代にとってはencouragingであろう。
ただ、「政策」のところを眺めると、やや右寄りの匂いがする(安倍内閣に入閣するのだから当然か)。

「国会通信」というエッセイの中の本年9月6日の記事「秋篠宮、妃殿下、おめでとうございます!」を読むと、結論としては女系天皇反対論者らしい。
仮に、有識者会議が政府に提案している通り、「女系天皇容認」「女性天皇容認」「長子優先」で皇室典範を改正しましたら、2代後に「権威ある皇統」というものは断絶する可能性が大きくなります。
 次期天皇陛下は「男系男子」の皇太子殿下、次々期天皇陛下は「男系女子」の愛子様、愛子様が民間人の田中さんと結婚されて第1子が女子であったら、その次の天皇陛下は「女系女子」となります。そして、この天皇陛下の男系の祖先は田中家・女系の祖先は小和田家ということになります。法改正により、2代目で天皇陛下直系の祖先は女系も男系も両方民間人になる可能性があるわけです。

このあたり、皇室をどう捉えるかという問題は、一般市民の男女共同参画とはまた異なる問題もあろうが、うーん、連絡会にとってはちょっと形勢不利だろうか。

それより問題な箇所は、
親王殿下ご生誕の速報に接した後、主人がポツリと言いました。「数十年も経てば、医学の発達で男女の産み分けも可能になるんだろうがなあ・・」。
 生命倫理の問題もありますから、医学的に可能であったとしても、皇室が男系維持の為に産み分けをされるかどうかは分かりませんが、主人は、何時も私とはちょっと違った変化球的視点で物事を捉えるので面白い人だなあ・・と思いました(余談でした)。

ちょっと待て、国会に4期も出ているお方で、「科学技術担当」もするのに、まさかまだ「産み分けできない」と思っているのではないでしょうね???
(それが倫理的に良いかどうかとは別のレベルですが)

私は先の「皇室典範に関する有識者会議」に生物学や遺伝学や医学が分かる方が一人も入っておられないことをかねがね不思議に思っていた。
125代続いた(らしい)世界でも稀に見る家系を残したいということが本当にあるのなら、しかも、文化の伝承のために、どうしても皇族の男性が必要ということであれば、現代ならそれ相応の策はある。
それとも、そういうことを話題にするのはタブーなのだろうか?
そのような雰囲気こそが、雅子妃殿下の心を病ませたのではないのかと、勝手に想像する。

もう一つ、気になる記事を見つけた。
本年4月3日の「少子化対策を考える」である。
私は、日本人の価値観の変化や家庭・学校教育のあり方にも目を向ける必要を感じています。
 昔は、「所帯を持って一人前」という価値観や若者本人の独立意欲、「職業は一生もの」という職業観、生命の連続性や家系・先祖に対する意識というものが社会に根付いていました。
 こんなことを書くと、年寄り臭いとか頭が古いとか言われてしまうのでしょうが、私が若い頃には、「学校を卒業したら定職に就き、親に経済的な迷惑をかけないようにしよう」「会社で嫌なことがあっても、親の顔を思い浮かべて我慢しよう」「適齢期と言われる年齢になったら、結婚相手を探そう。それが一番の親孝行だもの」「**家の跡取りを作らなくては、ご先祖様に申し訳ない」等々、ごく自然に考えていたのです。

御年45歳とのことだが、やっぱり、ちょっとコンサバらしい(首尾一貫しているということでもある)。

松下経営政経塾出身で、そういう関係の著書もあるようだ。
それにしても、科学技術に明るい方が担当大臣になって頂けるような政府になるには、あとどれくらい待てばいいのでしょうか?
研究者が一番アウトリーチ活動しなければならない対象は永田町なのかなあ・・・?

*****
ところで、本日のGoogleのトップページの文字はお誕生日のケーキのようだが、今日はGoogleの創立記念日か何かだったのでしょうか?
ご存じの方がおられたら教えて下さい。
Commented by seita at 2006-09-28 01:28 x
創立(わずか)8周年ですよ。よく見るとロウソクがVIII。
Commented by kshojima at 2006-09-28 12:31
高市さんは経済政策はまぁですが、あとは。。。ディベートはうまいですが。猪口さんも無茶苦茶だったのでなんともいえないのですが。。。
松下経営塾は松下幸之助の最大の失敗と言われています。そりゃあ松下の社員が汗水たらして生まれたお金でクーラーの効いた部屋で高学歴の人々が好き勝手やってますから。ボランティアとかやっているのは一握りで庶民感覚もないまま政界ですからねぇ。
Commented by いち読者 at 2006-09-28 14:40 x
さすが科学者の先生。と感心致しました。私も彼女は好きくない範疇でした。言っていることに矛盾を感じましたがあくまでも直感。何より媚を売る雰囲気が嫌でした。郵政造反女史との違いです。そうです、人は印象で判断してはいけないですね。きちんと言動を検証分析しなくては。
Commented by とんぺい at 2006-09-28 21:35 x
大学教授の先生方も政治家以上に世間一般の感覚からかけ離れていると思うのは、私だけでしょうか。一般企業で営業職を経験して世間の厳しさ(常識といえば言い過ぎか)を味わった方がいいのでは。先生のコメントを拝見していますと、科学者、女性の視点に傾倒しすぎの嫌いがします。そんなに肩肘はらなくてもと思いますが。
Commented by osumi1128 at 2006-09-29 00:34
seitaさん
有難うございました。ロウソクはVIIIだったのですね。なんで斜めなんだろうと思っていました。
Commented by osumi1128 at 2006-09-29 00:36
kshojimaさん、コメントありがとうございます。基本的には会ったことの無い方についてあまりああだこうだ言わないようにしているのですが・・・「公人」扱いの方はよいかと思って私見を述べました。
Commented by osumi1128 at 2006-09-29 00:38
いち読者様、コメントありがとうございます。上記にも述べましたが、現時点ではお目にかかったことがない方なので、好きかどうか判断はしておりません。共同参画の立場からは手強いのかなと予測してみたところです。
Commented by osumi1128 at 2006-09-29 00:41
とんぺい様、コメントありがとうございます。
大学人は一般常識がない、というのは平均的には仰る通りだと思います。ただし、このブログでの私の立場は「科学者や女性に対してエールを贈る」ことですので、そのようなバイアスはかけています。どちらも社会ではマイノリティーですので、誰かが応援しないといけないのではと思っているからです。肩肘を張っているつもりはありませんが、今回のエントリーがそのように読めたとしたら、それは「知らない方」について勝手なコメントをしているという緊張感からでしょう。いずれにせよ、今後とも宜しくお願い致します。
Commented at 2006-09-29 10:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 109 at 2006-09-30 14:34 x
男女共同参画学協会連絡会としては選択的夫婦別姓制度についての要望や働きかけは行われないのでしょうか?夫婦別姓には反対で「通称使用の法制化」がお好みの「高市」大臣のようですがどこまで「通称」が通用できるようにしたいおつもりなのか良く分かりません。私達は現在海外で暮らす研究者夫婦ですが、ビザやパスポートは「通称」では通用しないので婚姻届を提出せざるを得ず、一方大学でパスポートにもビザにも書かれていない「通称」で仕事をするのは非常に困難です。子作りどころか離婚すら考えました。頻繁に海外と行き来する研究者にとっても公的文書(パスポート)の後ろ盾が無い「通称」を公私で使い分けるのは非常に面倒だと思います。日本では科研費の申請などに旧姓も使えるようになったそうですが、日本人研究者の活躍の場は国内だけではないということも考えていただきたいと思います。
Commented by kk at 2006-10-01 06:48 x
日本では、結婚後夫または妻が旧姓をすてて配偶者の名字を名乗り、子供の名前もそれに一致させることが長く続いてきた。今私は外国にいるんだけど、名前についてはお国によって様々ですね。アメリカ人は、名前のあと、旧姓、夫の名字をつなげるみたいです。日本人の女性研究者も論文上で結婚後はこの方式を使っている人多いですね。ルーマニア人の既婚女性は夫の名字に変えたそうです。メキシコ人の知り合いの場合、独身なんだけど、正式の名前が、名前、父方の名字、母方の名字からなっているそうです。で、中国人にきいたら、中国女性は結婚後も名前は変わらない。第1子は父方の第2子は母方の名字を名乗ったりすることもあるそうです。日本はお上が国民を管理する意味で戸籍制度を続けているのが夫婦別姓問題を難しくしてる気がします。まあ戸籍によって重婚が難しくなるメリットもあるけど、どうなんでしょうね。
Commented by osumi1128 at 2006-10-01 22:16
109さん、kkさん、別姓問題についてのご指摘を有難うございました。
どういうルートで働きかけるのがよいのか、どういうタイミングがよいのかまだ分かりませんが、連絡会の話題に上げてみたいと思います。
有難うございました。
Commented at 2006-10-01 23:10 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by osumi1128 | 2006-09-27 22:28 | 科学技術政策 | Comments(13)

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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