サイエンスアゴラ

JSTの主催により「科学と社会をつなぐ広場をつくる」サイエンスアゴラがお台場の日本科学未来館で開催されています。
同時並行でいくつものプログラムが展開されていて、とてもすべてを見られないのが残念だったのですが、その中のシンポジウム「科学者と研究の倫理」に参加してきました。
司会は文部科学省科学技術政策研究所研究官の中村征樹氏で、講演者は以下の通り。
村松 秀氏(NHK制作局、科学・環境番組専任ディレクター)
石黒武彦氏(同志社大学ヒューマン・セキュリティーセンター教授)
白楽ロックビル氏(お茶の水大学理学部教授)
笠木伸英氏(東京大学大学院工学系研究科教授)
村松氏は以前に著書『論文捏造』を取り上げさせて頂いたこともあるが、米国ベル研究所の研究員であったシェーン博士の関わった超伝導に関する論文捏造の取材を通じての、ジャーナリストの視点からの意見を述べられた。

石黒氏は、2000年以降に急増している撤回論文の調査データを挙げ、そこから読み取ることのできる社会的問題を示された。

中間討論を挟み、白楽氏はバイオ研究者の立場から、研究不正を防ぐための「ルール」はどうあるべきか、いかに現場に即した分かりやすいものにしていくかという提案を打ち出された。

最後に、笠木氏はご自身が中心となって関わられた学術会議の「科学者の行動規範」について説明されるとともに、さらに細かい問題点について指摘された。


小さめの会場でしたが、参加者は現場の学生さんから、ジャーナリスト、企業に務められる方、内閣府の学術会議関係の方などなど、広い範囲に渡っていたように思われます。
この問題の関心の高さが伺われました。
私もフロアからいくつかコメントさせて頂きましたが、せっかくこういう場でなされた議論については、どのようにフィードバックされていくのかについて、主催者がどのようなプランをお持ちなのか、聞き損ねました。
石黒先生は岩波の『科学』に「科学の社会化シンドローム」を連載されているとのことですので、もしかしたら何か反映された記事が載るかもしれませんね。
Commented by K_Tachibana at 2006-11-27 00:51 x
16時半からの研究倫理問題の本音で語るワークショップにも,石黒さんと白楽さんがお見えになりました.北澤さんも発言されていました.
オフレコということだったので,それなりに赤裸々な本音の話が出されました.

村松さんとは,ちょうどMiraikanの会場近くですれ違いざまに挨拶
しました.
Commented by osumi1128 at 2006-11-28 01:26
K_Tachibanaさん
大きなイベントでしたね。もっといろいろ参加したかったのですが。うちのサイエンスエンジェルさんも発表したのですけど、聴けなくて残念。
Commented by K_Tachibana at 2006-11-28 05:48 x
私もちょうどサイエンスエンジェルさんの発表と自分自身のオーガナイズしているイベントが重なっていて聴けませんでした.
サイエンスフェアリーとサイエンスエンジェルとの対談なんていうのも期待したんですが.
Commented by 中村 at 2006-12-03 00:46 x
大隈先生、シンポジウムへのご参加とフロアからのご発言、ありがとうございました。当日の司会と、今回の企画をいたしました中村と申します。
当日はご挨拶できず、申し訳ありませんでした。

当日の議論のフィードバックにつきましては、第一には、ご参加いただいた方々が、それぞれの日常や研究現場にもどって行ったときに、このような問題について周りの人たちと話をはじめるきっかけとしていかしていただく、ということかと思っております。
なによりも、研究者倫理をめぐる問題は、研究者自身が現場で考え、研究仲間と話し合うなかで、そしてそのような議論をさまざまな場で積み重ねていくなかで、研究者コミュニティとして解決策を見い出していくしかないのだろうと考えております。
Commented by 中村 at 2006-12-03 00:47 x
(上の続きです)

もちろん、そのことを前提としたうえで、研究倫理に関わる問題について調査研究をされていたり、研究機関の関連部署で研究者倫理にたずさわる仕事をされている方々など、登壇者やフロアにも数多くいらっしゃいましたが、そのような調査や取り組みのなかで参考にしていただく、ということかと思っております。私自身もそのような調査を行っておりまして、大変、参考になりました。

しかし、基本的にはやはり、健全な研究活動のありかたを考えていくということは、研究活動の中核に関わる問題かと思いますし、また、専門分野による研究活動の性格の違いも大きく左右してくるということもありますので、さまざまな学協会などでも議論の場が広がっていくことが、なによりも重要なことだと考えております。

あまりご満足のいくようなお答えになっていないかもしれませんが、以上、とりあえずご回答させていただきました。
今後とも、何卒、よろしくお願いいたします。
Commented by osumi1128 at 2006-12-03 22:52
中村様、ブログへのコメントを有り難うございました。
日曜日の午前中にも関わらず関心のある方々が集まっておられたのは何よりでした。この問題は科学者コミュニティーへの信託をどのように得られるかという意味において非常に重要ですので、それぞれの方が現場に立ち戻って考えて行動することが大切だと思っています。小さな一歩でも皆が踏み出すことは大きな意味があることです。良い企画を有り難うございました。
by osumi1128 | 2006-11-26 16:27 | 科学技術政策 | Comments(6)

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


by osumi1128
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