Rat Genome Meeting
2006年 12月 02日
日射しは強いのですが涼しくて、しかも建物の中の空調が低く設定されていて、半袖Tシャツに革のブルゾンでは寒いくらいです。
今回のメルボルン滞在の最初の目的はRat Genome Meetingという(マイナーな)学会に出席するためで、その機会を利用して、昔からの業界の知り合いであるメルボルン大学のSeong-Seng Tanという方のところでセミナーをするという予定にしていました。
ラットという動物種は、マウスがこれほど流行る前から扱いやすい実験動物として用いられてきて、とくに代謝や神経系では好んで使われたという歴史的背景があります。
神経系の細胞培養の条件は、未だにラットの細胞に最適化されていて、マウスの方が条件が悪いというようなこともあるくらいですが、今は圧倒的にノックアウトマウス全盛という時代かもしれませんね。
でも、行動実験をする方々には「マウスは元々がバカだから……」と仰って、ラットを好まれるかたもおられます。
うちの研究室は、Pax6という遺伝子の自然発症突然変異ラットがいたので、ラットとマウスを両方使っています。
そもそもこのミーティングを知ったきっかけは、2年前のCold Spring Harbor MeetingでRat Genomeというものがあり、そこに出かけていって発表したことが最初です。
今回はメルボルンで医学基礎研究の学会のような大きなものがあり、そのサテライト的に付随した学会でした。
2回出てみて思うのは、ラットの業界の方達はマウス業界よりも「おっとり」しているというか、非常に競争の激しいところでしのぎを削っている、というよりは、もう少し、マイペースで進めているような感じの方が多いですね。
それはきっと好きずきなのだと思います。
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メルボルンは予想よりも良い食事ができて満足しています。
きっと、さまざまな国からの移民が多いせいなのだと思うのですが、メルボルン大学の友人のラボメンバーとご一緒した中華も、値段の割にすごく素材が良く、「味の素の味がしない」美味しいものでした。
昨日と本日は、参加したラボメンバーと一緒だったのですが、昨日の「肉」も本日の「sea food」も、(量は多めですが)日本人の口に合う味付けで、しかもお洒落なお店でした。
さらに、オーストラリアはワインが安くて美味しいです。
とくに、最近の流行でもありますが、Shirazに良いものが多いように思いました。
#メルボルン大学の友人は自宅に2000本のワインを所蔵しているとのことで、一昨日は1ダースくらいいろいろなものを中華料理店に持ち込んだので、いろいろテイスティングさせてもらいました。
10年くらいのところが一番美味しいとの友人の弁でした。
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さて、明日はシンガポールに移動します。
実は、まだホテルが確保されていないのです(涙)。
旅行の前にどこに泊まるかは決めてから旅立つ方針なので、こういうことは初めての経験です。
日本を発つ前からインターネットでいろいろ探したのですが軒並み満室で、さらにこちらに来てからは直接ホテルのフロントに電話もしたりしましたが、それも駄目。
何か、世界中の人たちがシンガポールに集まってくるような錯覚に陥ります。
シンガポールの友人にお願いして探してもらっていますが、現時点でやはり駄目なようで、「最後はChangi空港の当日予約のデスクに行って下さい」と言い渡されています。
やれやれ……どうなることやら(溜息)。
それよりも、「積み残し」の案件を抱えたまま海外出張に突入してしまって、旅のお供の本さえ読めていないという状態です。
#『グレート・ギャッビー』(スコット・フィッツジェラルド著、村上春樹訳、中央公論新社)の愛蔵版を、大事にトランクの中に入れてきました。
メルボルンの友人がマグナムのワインをお土産にくれたりして、この荷物を抱えての移動かと思うと、さらに溜息が出ます。