ロードマップ、共同参画、そして科コミ

名古屋で開催されていた分子生物学フォーラムに参加して来ました。
今年は6月に国際会議として年会が開催されましたので、12月はフォーラムという扱いでした。
気が付くと、<サイエンス以外の>シンポジウム3つで喋ることになっていました。
どれも相互に関係することなので仕方ないのですが。

1つ目は木曜日の午後の企画ワークショップ「ライフサイエンス推進の総合戦略を考える」で、菅野先生がオーガナイザー。
基調講演として学術会議会長の金澤先生、文科省の松尾様、経産省の渡邉様のお話があり、さらにパネル討論に遺伝研の小原先生と私が加わってのものになりました。
その一部については科学コミュニケーションブログの方にも取り上げられていますが、議論のポイントとしては渡邉様からの「分子生物学会としての<ロードマップ>を描いてほしい」という提案に対し、(例えば、地球温暖化にどう対応するか、というような問題とは異なるので)「こういうライフサイエンス分野において<ロードマップ>という思考は合わないのでは?」と反論しました。
ただし、個人的にはそういう発想でブレインストーミングを行っても面白いのではないか、とは思っています。
松尾課長からは「もっと国民に説明すべきだ」というご意見がありましたが、(説明を行う主体者は行政であるべきとは思いつつも)これまでややその責任を学会全体としてあまり果たしてきていないのではと感じています。
その意味で、金曜日の科コミセッションは重要なものでした(後述)。

2つめの共同参画シンポは、ランチョンの枠で行ったこともあり、会場は大入り満員。
もちろん話題の中心に「学振のRPD制度」を据えていたということも盛会だった理由と思います。
この制度の設置に大きく関わったJSPSの久保真希部長が自ら出向いて、何故こういう制度を作ったのか、という説明をされました。
久保さんは元々は文科省で、数年前には内閣府男女共同参画局の課長、現在学振の総務部長というキャリアの方で、だからこそ連絡会からの提言等が活かされたのだと思います。
制度を作るのも<人>だとつくづく思いました。
また、8月に分生のHPで行った「RPD制度に対するアンケートの分析」について、熊本大学の田賀さんが分析結果について報告されました。
こちらは近くHPにアップされることと思います。
あ、私の方は「女性研究者育成支援元年」を振り返った総まとめ、のような話をしました。

そのランチョンに引き続いて、隣の会場で科学コミュニケーションに関するシンポジウム。
コーディネーターは今やこの業界のキーパーソンとなりつつあるJSTの長神さん、話題提供兼パネリストは、京大加藤研の東島さん、理研BSI広報の嶋田さん、朝日新聞の内村さん、NHKで教育番組担当の森さん、そして私。
私の発言内容は(PPTを画像にして貼り付けようかと思っていたら)さっそく科学コミュニケーションブログの方にレポートされましたので、ご参照ください。
タイトルは「ブログはアウトリーチ活動になるか?」ということにしたのですが、個人的には研究者の中で「書くこと」が好きな方が、とりあえず無理のない程度に始めてみてもよいのではないかと思っています。
アウトプットするという作業は頭を整理することにもなりますし、「社会とのつながり」を意識して書くことは、その他のアウトリーチ活動のためのトレーニングになると思えます。
ただ、研究の中身そのものを伝える媒体としては、ちょっとやりにくさがありますね。
「ブログ的頻度」で、例えば自分の研究を更新するのは難しい。
どなたかが、毎日1本ずつ、「面白い論文」のエッセンスを挙げて下さるようなサイトはあってもよいと思いますが。
(現状でもそういうブログを書かれている方はありますが、読者対象は仲間内という印象があります)

シンポジウム終了後に、パネリストでお茶をして、その意見交換もなかなかよかったです。
地デジに移行すると「学校放送」の類が消滅するかもしれない、というショッキングなお話を伺いました。
学校の方では地デジに乗り換える予算がない、ということが大きな問題ということです。
でもー、受信料で成り立っているNHKさんが教育番組から撤退したら、いったい全体どうなるのでしょう?
これは、場合によっては世論を盛り上げて、むしろ学校の設備をよくするような方向に持っていかないといけないように思いました。

さらに、夜ご飯は加藤研の学生さんたちと一緒に、金山駅近くの居酒屋へ。
研究機関の広報関係の人たちが意見交換するような場はできないか? ということが挙がりました。
すでに、女性研究者支援モデル事業の場合には、連絡会シンポジウムや今回の名古屋の学会において、採択された10校が揃ってポスター展示を行い、関係者が集まって意見交換をしています。
きっと、広報関係の場合でも、誰かが声をかけて、きっかけとなる企画を立てれば、充分実現可能だと思います。

*****
明日は、朝、CRESTの市民公開講座に顔を出してから、午後は東北大学出版会の講演会のために仙台に戻ります。
海外出張から引き続いての巡業(?)もまもなく終了。
by osumi1128 | 2006-12-09 01:26 | 科学技術政策

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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