フェルメール全点踏破の旅

久しぶりに月曜日のラボ掃除に参加した。
モップをかけたりしながら、ラボメンバーとあれこれ話をする。

午後に文科省の委員会その他があるので、昼過ぎにタクシーで駅に向かう。
気が付いたら師走も半ばで、青葉通りの欅はすっかり葉が落ち、明日からの光のページェントの準備が施されていた。
メインストリートのイルミネーションを見に、近県からも車が集まるので、渋滞になるのは困ったものだが、冬の寒い時期に心が温かくなるイベントは大切。

本日の委員会は人材委員会といって、キャリアパス、若手育成、女性研究者育成支援等の施策のための会議をこれまでしてきたのだが、ここ1年ほどは開催されていなかった。
今回は、次年度の概算要求の説明もあり、また、北大および早大のキャリアパスプロジェクトの進行状況が、それぞれの実行者より説明された。
次年度の復帰支援RPD制度は4倍の予算要求をしているので、今年度30人だった採用予定者はもっと増えることだろう。
若手育成と女性研究者育成支援は、来年度も同数程度のプロジェクトを採用したい意向のようだ。
新規のプロジェクトもいろいろあり、「サイエンス・コラボ・ティーチャー」を小学校に派遣する、理系学生の支援なども盛り込まれている。
これから御用納めまでに財務との攻防になるのだろうが、是非、予算拡大を頑張って欲しいところである。
私は軍用機を買うよりも人材育成だと思うので。

帰りがけ、文科省のある丸の内仲通は、今年はミレナリオは行われないのだが、一部の街路樹にはお洒落なイルミネーションが灯っていた。
青色発光ダイオードのイルミネーションは、なんだか冷たくて嫌いだけど、こちらは赤っぽい細かいイルミネーションだった。

*****
本日の新幹線のお供だったのは『フェルメール全点踏破の旅』(朽木ゆり子著、集英社新書ビジュアル版)。

オランダのフェルメールは大好きな画家だが、最近とみに人気があるらしい。
作品数が三十数点と非常に寡作なので、すべて覚えられる。
レンブラントやカラバッジョよりも光が柔らかいのが好きな理由か、独特の青や黄色、そしてピュアな白の使い方のせいか、構図の面白さか、とにかく何故か惹かれるものがある。
どれか1枚下さるというのなら(いつもの勝手な想像)、「真珠の首飾り」か「真珠の耳飾りの少女」か、あるいは「手紙を書く女」でしょうか。

さて、著者はフェルメールのすべての作品を見るツアーを組んで、4点を除いて全点踏破するのだが(仕事でこういうツアーに行けるなんて、素敵なことだ)、絵の来歴や、さまざまなエピソード、作品に含まれる寓意などについて解説している。
それほどストーリー性がある訳ではないのだが、つい、引き込まれて読んでしまった。
(本当は、今週担当するジャーナルクラブの論文も読まなければならなかったのに・・・)
著者によれば、日本人がフェルメール好きなのは、あまりキリスト教文化を知らなくても、また寓意の知識が無くても、作品の中の精神性を感じ取ることができるからなのではないかと推測している。
確かに、聖書に基づくお馴染みの主題や、ヨーロッパの歴史を描いた絵は、とっつきにくいところがある。

そうそう、フェルメールには「地理学者」と「天文学者」という「書斎の学者」というモチーフの作品がある。
このモデル(といっても肖像画ではない)は、アンソニー・ファン・レーウェンフック(顕微鏡の発明者)と言われていることを本書で知った。
もし、フェルメールが43歳で亡くならなければ、もっと科学者を描いた作品は多かっただろうか?
それにしても、数が少ないだけでなく、晩年の作品には力がない。
才能が花開いた時期が限られているのは、まるで桜の花のように思える。

追伸:本書は「ビジュアル版」となっているだけあって、紙質も写真の質もとても良いです。
新書なので、ポケットに入れてオランダにフェルメールを見に行きたいですね。
by osumi1128 | 2006-12-12 00:36 | 書評

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