御用納め、というよりも冬休みの課題

もう国家公務員ではなくなったのですが、12月28日が大学でも御用納めです。
我が東北大学医学系研究科では、今年から御用納めと仕事始めの研究科長挨拶が撤廃されました。
いつも、「長と名の付くようになると、毎回毎回ご挨拶を考えるのは大変だろうな」と思っていましたが、時代の流れというものですね。

さて、5号館のつぶやきさんのところで論文ねつ造は懲戒解雇というエントリーが立てられました。
関連することとして、日本分子生物学会が研究倫理委員会の設置というお知らせをホームページに掲載しました。
今年日本で大きく取り上げられた研究上のミスコンダクト事件に、日本分子生物学会は大きく関わることから、この件がどうなるのかと気を揉んでおりましたが、年内に委員会設置という形になったのは何よりでした。
会長や委員長をはじめとした関係の方々のご努力に敬意を表したいと思いますし、今後の活動がどのようになるのか、その展開を見守りたいと思います。

追記:関連して文部科学省HPでは「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)(案)」に関するパブリックコメントを募集しています。
1月末までの受付になります。

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ところで、平成19年度はグローバルCOEという新しいCOEが開始されるのですが、その公募要領等が先日学術振興会のHPに掲載されました。
こういう案内がすぐにwebに載るようになったことも、最近の大きな変化だと思います。

先日、とあるキャリア官僚の方に「2,3年で担当官が変わるのは困ります」という、研究者が皆感じておられるであろう愚痴をこぼしましたら、「1カ所2,3年で勘弁して欲しい」ということでした。
詳しく聞いてみますと、1年目はまず、新しい部署で何をすべきかを吸収する、2年目で自分らしさを出して新規事業などを立ち上げる、ということで、3年以上は吸収すべきことがなくなってしまうのかもしれません。
Generalistsを育成するという日本のシステムの典型なのでしょうね。
確かに、私もどちらかというと新しいシステムを立ち上げることが好きな方なので、よく分かります。
数年の間、自分のモチベーションを維持していくには、それなりに努力が必要です。
でも、経済がものすごく右肩上がりの時代であれば、次から次へと道路でも地方の美術館でも建てれば良かったでしょうが、現在はもっとsustainableな発展を考えないといけないように思います。
また、とくに教育や人材育成という分野においては、制度がしょっちゅう変わることは、現場の混乱が大きくなってしまい、次世代を育てる教師・教員が疲弊してしまいます。
それでは元も子もないと思うのですが。

キャリア官僚が2,3年で部署を変わっていけるのは、そういう方々の能力がとても高いことと、極めてまじめであることを表していると思います。
ただし、概算要求等の年間スケジュールに合わせて、締め切り間近には夜中まで働くことも常でしょうから、ワーク&ライフバランスが大きく仕事に振れているのではないかと察します。
制度をあまりいじらなければ、もっと皆が楽をできるかもしれないのですが。

という訳で、年末年始は優雅な原稿書きという目論見から一転して「冬休みのお宿題」をこなさなければならないようです。
まだ、仙台脱出の可能性は捨てていないのですが、どうなることやら。
by osumi1128 | 2006-12-28 22:19 | 科学技術政策

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