原稿書きとお雑煮とガッテン
2007年 01月 03日
もうちょっとバリエーションもたせないとと思いつつ、「研究活動における不正行為対応ガイドライン」などの話題から、お正月くらいは遠ざかりたい心境です。
今日は最後の朝寝坊をしてから自宅のコンピュータに向かい、延ばし延ばしになっていた原稿を1つ仕上げました。
細胞生物学の教科書の1章だったのですが、年末に「他の方々のお原稿はほぼ出そろいました」というご丁寧なお知らせがあり、やんわりと「どうぞお正月のお休みの間に仕上げて下さいね」と行間に書いてありました。
そのお手紙はすぐさまゴミ箱に直行してもらいましたが、昨日ようやく、1年以上前に来ていた執筆要項の封筒を探し出して持って帰ってきました。
実は、先日、瀬名さん(以下Sさん)と友人Kさんと一緒にご飯を食べたときに、原稿の締め切りの話題になり、さすがにプロの作家さんは「締め切りを守らないなんてとんでもない!」と言われました。
逆にKさんは「でも、出版社さんは数学の本の原稿には、締め切りは<無い>と考えておられるみたい」
おおすみ(以下O )「それはさすがに、どんなものでも締め切りってあるんじゃない?」
K:だって、契約書も何もないよ〜。
O:でも、表の締め切りとか、裏の締め切りとか……。本当にもうヤバイというときには、編集者さんが必死になるから分かるでしょ?
S:いや、裏とか表とかじゃなくってね、締め切りを守らないのは不誠実ですよ。
K:でもね、出版社は<先生、いつでもいいですから、書いて下さい>って言うんだもの。<はい、半年以内というのは無理ですが、1年くらいなら……>って答えて、そのまんまだし。
S:いつか書いてくれると信じてるのになあ……。
O:そうね、催促がないのなら、仕方ないかもね。
S:……(無言)……。
確かに、大学のセンセイが本を書くというのは、給与は保障された上でのことだから、売れても売れなくても構わないと思っているし、理系だと本を書いてもあまり業績にはならないと見なされていることもあるし、文章を書くことを生業とする方々とは緊迫度が違いますね。
いえ、普通の月刊誌の総説などであれば、もちろん締め切りはきちんと守るのだけど、分担執筆になっているもので、自分自身が脱稿してから数年経って本がようやく出た(出ただけ良かった)こともあり、今回、かなり「悪い子」になっていました。
ゴメンナサイ。
言い訳するとすれば、本を書くのは基本的に家に帰ってからなので、そんなにいくつも一度には書けないのです。
2006年の前半はWiltの発生生物学教科書の翻訳の校正をしていて、夏から秋はエッセンシャル発生生物学第2版の翻訳をし、年末に再校が終わったばかり。
で、ようやく細胞生物学のチャプターに取りかかる気持ちになったということです。
実は、そんなに字数は多くなく(9600字)、すでに半分書いていたので、夕方までに一気に最後まで書ききりました。
ゼロから始めたら一日では終わりっこありません。
後は、明日、ラボで図を作成して送るだけ。
正直、肩の荷が降りてとてもスッキリしました。
この後、いろいろ書類書きがあるので、なんとしても終わらせておきたかったので。
途中までは並行していくつかの原稿を抱えていられますが、最後はちょうど駅の改札を抜けるように、1つずつしか仕上げることはできませんね。
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で、その後、気分良く買い物に行き、ラボでお雑煮を作りました。
どちらの研究室も同じかと思いますが、目下ちょうど修士論文作成中のM2の学生Uさんが、正月休み返上で毎日来ていますし、ポスドクのMさんも実験の都合で帰省しておらず、「じゃあ、お雑煮でも」という次第。
昆布と鰹節で美味しい出汁を取って、お餅をトースターで焼いて、後は鶏肉と青菜(本当は三つ葉が欲しかったのですが、雪菜に変更)のみというシンプルなお雑煮です。
案の定、Uさんは「朝からヨーグルトとプリンしか食べてませんでした〜」などと言っています。
早くも帰省から戻ってきた他の学生さんやポスドクさんも一緒に、新年初のラボご飯となりました。
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で、その後、気分良く自宅に戻り、「ためしてガッテン・スペシャル」の寿司特集を見ました。
NHKの科学番組は「四つの目」の頃から大好きなのですが、というと年代がばれますが(註:「サイエンス・アイ」よりも1つ前の番組です)、「ガッテン」は健康ものや食事ものなどの、身近な科学を楽しく、押しつけがましくなくエンターテイメントにしているところが良いですね。
今回の寿司特集は、なれ寿司のルーツをタイまで取材したり、大間の本マグロとスーパーで売っている冷凍マグロでお寿司を作って対決させたり、いろいろあった中で、面白かったのは、お寿司のシャリ用のお米は古米が混ぜてあり、古米と新米の断面の走作電子顕微鏡写真が出てきたこともさることながら、プロの握りと素人の握りをMRIで観た!というもの。
スゴイですね〜、あの、体の検査などに使うMRIですよ!
お寿司のシャリの状態がどうなっているかを観るために!!!
で、何が分かったかというと、握りの外側はしっかり握られているのですが、中側にふわっと空洞があるということ。
さらに、ネタとシャリは一体化しているのが美味しさにつながるというのですが、ものすごい風を起こす装置を使わせてもらって、素人の握りだとシャリの上に載っているネタが風速12メートルで飛んでしまうけど、プロの握りだと風速25メートルまで粘れる、という馬鹿馬鹿しいけど楽しい実験もありました。
この番組を観てしまった方は、きっと次にお寿司を食べに行ったときに、こっそりネタをお箸で持ち上げて、剥がれやすいかチェックしてしまうのではないかしらん(ワタシは、きっとそうします! ただし、カウンターではしませんが)。
さて、明日からは仕事始めですね。