健康食品

昨日金曜日は同じCREST「脳学習」領域の小林和人先生(福島医大)のチームとの合同の研究会を福島医大で行いました。
昨年までは自分の領域内で行っていたのですが、今年は2チームで約50名ほどの参加となり、より深いディスカッションができて何よりでした。
脳科学は解析レベルの多様性が多いので、近い分野ならよいのですが、うちのように統合的なチームだと、それぞれの研究室からの参加だけだと批判できる専門家がいないことになるので。

さて、無事にアカデミックセッションが終了した後、その日福島泊の人たちで高湯というところに移動しました。
今年は福島も暖冬でしたが、さすがに標高1000メートルを超えると道の脇には雪が残っていました。
懇親会は(もちろん皆自腹ですがーーー念のため)お料理の品数が多くてお腹一杯。
その腹ごなしとして、有志によるチーム対抗カラオケ大会。
どちらも芸達者な方が多く大いに楽しめました。
さらにその後、幹事部屋での飲み会となり、かなりの量のアルコールが摂取された模様。
皆が社交的でなければいけないということはありませんが、こういう場で世代を超えた交流をすることも、キャリア形成には大切だと思っています。
やはり振り返っても、合宿形式での交流は一番効果が大きいと感じます。
「同じ釜の飯を食った」仲になるというか、ただの懇親会とは違いますね。

あ、お湯は硫黄泉でお肌によさそうな感じでした。

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有名番組の「あるある大事典」が打ち切りになった関連の例の話題は、Y先生のブログでも、5号館のつぶやき先生のところでも取り上げられていましたが、なんだかあまりにも「いかにも」なので、コメントする気になりませんでした。
たぶん、納豆が健康的な食材であること自体は、数百年に渡って日本人の多くが知っていることであり、ただ、それがいわゆる「ダイエット」になるかどうかは、食べ方にもよるでしょう。

馬鹿馬鹿しい話題だと思っていましたら、なんとこのタイミングで、日本学術会議の金澤会長の談話が学術会議HPに掲載されました。
上記のリンク先から、「What's New」の1月26日付けの「テレビ番組等における「科学的」実験についての会長談話」に飛んで頂くか、「資料ダウンロード」→「第20期会長談話一覧」に飛んで頂くと、PDFをダウンロードする形で読めます。
テレビ番組は国民に与える影響が極めて大きく、そこに捏造等の不正行為があれば、テレビなどによる情報発信、ひいては科学そのものに対する信頼を著しく傷つけかねない。(抜粋)


「健康」系のトピックは市民にとって身近であるために、上記のような問題が起きやすいのだと思うのですが、もう一つ、アカデミアでの扱われ方について私見を述べておこうと思います。

先日学内の脳神経科学系の先生とお話ししていたときに、「これからの脳神経科学の応用面」というところで「脳健康食品」という言葉が出ましたら、その先生は「うーん、それはちょっと眉唾っぽい響きになるんじゃないの?」というご意見でした。
つまりアカデミアの人間の中では、「痴呆症の治療薬」であれば(純粋科学よりは俗っぽいですが)まだ科学的だけど、「健康食品」はアヤシイというようなコンセンサスがあるように思えるのですが、私はこれがゆゆしき問題だと思うのです。

本来「医食同源」と言われるくらい、東洋系の医学において、薬と食物はほとんど切り離せないものでした。
英語でも「貴方という人間は貴方が食べたものである」という表現があるくらいですから、毎日、何をいつどれだけ食べるかということが、その人の体の作りや、脳の働きに影響を与えることはほぼ自明です。
ところが、学問として、純粋科学に近いほどエラい、理学の方が薬学よりエラい、薬学の方が農学よりエラい、というような力関係があって、さらには、食物学や栄養学などがより低く見られていたりするのはどうかなと思います。

もちろん、それには学問としての発達の歴史が背景となっていることもあるでしょう。
「食物学」や「栄養学」は女子大や短大で教えられたというような歴史もあります。
でも、薬の開発費はべらぼうにかけても製品化されれば回収できる(うちの祖母は「薬、九層倍、花八層倍」とよく言っていました…薬の原価は1/9、花は1/8という意味です)のに対し、特定機能食品ではそんなにコストがかけられず、したがって、誰も本気でフォワードスタディーをすることができない、だから、適当なNの数でお茶を濁す、という悪循環はどうにかならないものかと思います。
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このブログで繰り返し主張していることですが、美味しい食べ物や、食べ物を楽しく美味しく頂くことは、日々の健康につながる大事なことだと思います。
今週木曜日は、毎日お世話になっているうちの秘書さんとテクニシャンの方達を連れてランチに行きました。
北仙台の方に1年ほど前にオープンしたNというフレンチのお店でしたが、なかなかコストパフォーマンスが良かったです。
同じ日の夜は、助手のNさんと学部生のHさんが、それぞれ賞を頂いたので、御礼の会(お祝いではなくてー笑)がラボで開かれ、医学部前のRというお店にお刺身や蟹(ご案内によれば「甲殻類および軟体動物を含む海産動物となっていました)を用意してもらってワイワイと過ごしました。
(ラボでの宴会は、仕事を引きずりながらになるという面もありますが……)
上記は、それぞれ単独ならとても良かったのですが、同じ日の昼と夜に重なると、too muchでかえって不健康だったかも(苦笑)。
で、昨日も普段の食事より豪華になってしまったので、今日はジムで走りました(汗)。
by osumi1128 | 2007-01-27 23:08 | 雑感

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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