インドの理系教育
2007年 01月 29日
途中、立ち寄った一番町のスタバで、ソイのラテを飲みつつ読みかけの推理小説を完読してしまい、その後の予定のために諦めた次第。
小さめの日本語の原稿を2つほど抱えていたのですが、家でも書けるものだったということもあります。
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先週はグーグルでしたが、今週のNスペは「インドの衝撃:第1回 わき上がる頭脳パワー」でした。
1947年に独立後、技術立国を目指し、インド工科大学(IIT)が設立されたのですが、これは超難関校であり、全寮制で毎日多くの宿題も出て、寝る時間と食べる時間以外はほとんど勉強しているとのことです。
しかも、「成果を教える」のではなく「自分で考えさせる」ところに主眼を置いているといいます。
答えに至る道を何通りも考えることが、将来、課題解決につながると捉えているのでしょう。
化学の学生さんの実習風景もありましたが、恐らくそんなに素晴らしい実験装置もないからなのだと思いますが、基本的な実験操作を学んで、それをどのように応用できるかを考えさせるとも報道されていました。
ナルホド、なんでもキットになってしまっているというのは、考えないことになりますね。
IITの卒業生でIT産業の会社を興した人のインタビューで、「インドには何もなかったから、紙とペンだけで勉強できる数学や物理が発展した」と述べていましたが、生物学でも、必ずしも高額機器が無くても、工夫次第で独創的な研究はできるはずです。
ちなみに、インドのシリコンバレーと言われているのが南の地域にあるバンガロールというところなのですが、バイテクの拠点でもあります。
10数年前にとある国際会議のために初めてインドを訪れたのですが、バンガロールの生物学研究所のゲストハウスに1泊だけ泊まり、その後、さらに内陸部のマイソールというところまで行って、そこで日印科学会議というような名前の会議に出席しました。
私はまだ駆け出しだったのですが、発生生物関係のO御大、N先生、イネのS先生、分子生物関係では同世代のKさん、Uさん(故人)などとご一緒でした。
オタマジャクシの脚を切断すると再生できるのですが、そのときに水槽にレチノイン酸を加えておくと、脚がウジャウジャ生えてくる、という報告が確かNatureに載ったのですが、その研究をされたインドの方が表彰されていました。
朝食からインド料理(つまり、カレーっぽいもの)が1週間続いたのはかなり消化器系に負担で、何人かの方はお腹を壊しておられました。
インドの女性研究者にサリーの着方を見せてもらったのも懐かしい思い出です。
ちょうど、着物にはまっていた時期だったので、わざわざ単衣の無地を持って行き、バンケットのときに着たりもしました。
当時は、日本との格差をかなり感じましたが、今はどんな具合なのかと、番組を見ていてふと思い出しました。
番組では小学校の算数の教え方も取り上げていましたが、1年生の授業では、紙も鉛筆も使わず、先生も黒板は使わずに、口頭で問題を言って、それに対して生徒たちが答えていました。
かなり桁の多い割り算などをしていましたが、九九はいつ教えているのでしょうね?
確かインドでは、19X19まで覚えてしまうのではなかったかと思いますが。
とにかく、算数=数学がすべての基本であり、良い職に就くためにはまず算数、という意識が国民全体に行き渡っているのだろうなと想像しました。
もちろん、国策としてかなりの努力をしているにもかかわらず識字率は60%程度であったり、初等教育の就学率が80%くらいというように、国民の教育レベルにかなりの格差があることは事実なのですが、なにせインド全体では11億人もの人がいて、たしかに「頭脳パワー」は凄いことになっている訳ですね。
ちなみに、インドのシン首相は経済学ですが、大統領のアブドゥル・カラーム博士はマドラス工科大学の出身で、科学政策の中心となっています。
(ただし、核実験も進めたという点において、私には相容れないところがありますが)