Jeeves & Wooster
2007年 02月 18日
イギリスのTVドラマがDVD化されたもので、8枚あるうちのまだ4枚目。
1エピソードが約1時間なので、かなり時間がかかります。
原本はP.G. WodehouseのJeevesシリーズで、年末にSさん共々ご飯を食べに行った際に話題になったもの。
「執事はあげられないけど、代わりにこれをプレゼントしてあげる」と英語の本を1冊頂きました。
それがシリーズの1作目ではなかったので、まず1作目の邦訳を買って読みましたが、なかなか面白い。
貴族のPertram Wooster(通称Bertie)とその執事(原作ではvaletとなっていました)のJeevesの日常が延々続くのですが、Jeevesが身の回りの世話をしてくれるだけでなく、どんな難問も解決してしまう!という設定です。
さて、DVDの方はさまざまな古典からの引用の台詞がカットされている代わりに、イギリスの豊かな田園風景や、そこに建つ豪奢なマナーハウス、その中の歴史を感じさせる調度などが映像として楽しめます。
また、ロンドンのBertieのマンション(原本ではそう書いてありました)も、リビングルーム、ダイニングルーム、Bertieの寝室、キッチンとこじんまりしていますが、いつも白っぽい花が飾られていて、男性の部屋としての趣味の高さを感じさせます。
(そのほかにJeevesのための住み込みの部屋があるはずですが、それは出てきません)
1930年代の設定で、衣装やクラシックカーも時代の雰囲気をよく表しています。
Bertieは貴族階級で働かなくてもよいので、毎日社交クラブに行ってバカ騒ぎをするか、知り合いのマナーハウスに1週間くらい招待されて(もちろんJeevesも同行します)、昼間はゴルフかテニスかクリケットで夜はディナー、というような、まあ、いわば「ニート」の元祖みたいなものですが、ときどきコワイ伯母さん(原本ではindomitable auntsとなっていました)が出てきます。
強引に、「いい加減に結婚しなさい。明日のランチに何何嬢を呼んでおいたから」とお見合いを設定し、「伯母さん、僕まだ35で若いんだから、止めて下さい」とお願いしても、「いえ、貴方はそろそろ身を固めて子供を作るべきです。では、明日、どこどこで。遅れるんじゃないわよ!」と言い残して去っていく・・・
Bertieの周りにいる友人は、これまた同じような貴族のぼんぼんなのですが、数ヶ月ごとに恋に落ちる奴や、いろいろな誤解で婚約破棄される者や、やたら豪快なお姉さんなどなど、個性的な面々です。
で、馬鹿馬鹿しい難題が持ち上がって、「Jeeves、どうしたらいい?」「さようでございますね、私に少々考えがありますので・・・」となる訳です。
Jeevesのキャラクターそのものが原本の面白さの神髄で、単にご主人様に仕えるだけでなく、「そのお帽子の趣味は、少々、いかがなものかと存じますが……」などとしっかり意見するところが良いですね。
映像ではさらに、毎朝、恭しくベッドに朝食を運び、その日の予定に合わせて服を順に取り出し、というお世話をするのですが、服の表面を指でなぞって埃を払うなど、その仕草が本当に細かく「Jeeves像」を作り上げています。
唯一厳しいのが、英語の発音。
アクセントの強いイギリス英語の早口の会話は、正直かなり辛いですが、でも、とてもエンターテインされるDVDで、お勧めです!
・・・ あれ? そういえば、AmazonでJeevesシリーズの朗読版CDを頼んだのは、一体どうなったのでしょう???
まだ届かないのですが・・・