Small world

昨晩から今朝にかけて、宿泊先のインターネット環境の不調により、下記のエントリーをしそこねました。
ブログの面白さの一つは、やはり「リアルタイム」であることだと思うので、ちょっと不満ではありますが、まずは昨日エントリーしようと思っていたネタをどうぞ。
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本日夕方(おっと、日付は変わってしまいましたが)、無事に国際シンポジウムは終了しました。
国内外含め、多くの方々が「とても充実したミーティングだった」と嬉しそうに話して下さいましたので、主催者としては何よりでした。
日程的には、比較的狭いテーマで2日というのも、適当であったように思います。
神経発生とadult neurogenesis関係の方々の両方にお集まり頂き、基礎から応用までを含めたことが良かったと思っています。
中身については、羊土社の方が来られて、ミーティングレポートを寄稿して欲しいということでしたので、いずれそちらに出ることになります。

もう一人のオーガナイザーである東大の久恒先生も、元ボスのRon McKay先生その他にお声がけ下さったり、私が抜けている間も気を配って下さって、本当に助かりました。
そして何と言っても、スポンサーであったAbcam社、とくに日本支社の立ち上げ時点からご尽力頂いたSさんには、本当にお世話になりました。
有り難うございました。

今回何よりも有り難かったのは、オーガナイザーは最初の人選をして、了解をもらうまでの交渉をした後は、ほとんどのプロセスをAbcam社の方で進めて頂けたことです。
その他には、日程を詰める、プログラムを決める、short talkにする人を選ぶ、といったことを行いましたが、それぞれの招聘者の交通費をどのようにするか、宿泊は誰がいつからいつまでか、といった様々なことも、すべてお任せできたのです。
このスタイルは、いわゆるGordon ConferenceやKeystone Symposium, Cold Spring Harbor Meetingと同じですね。

ところで、こういうミーティング開催をサポートするNPOを立ち上げたら喜ばれるのではないかと感じました。
かつて、日本でもいわゆる「財団」がシンポジウムをオーガナイズして下さっていたのですが、しばらく前に金利が下がり、経済状況が悪くなって、かなり立ち消えになったように思います。
代わりに、科研費やCOE等での国際シンポジウムが非常に増えたのですが、これはオーガナイズするのが本当に大変です。
大抵、欧米の方は「日本に来るのなら、こことあそこにも寄りたい」とか「休暇も一緒に取りたい」というリクエストをされるのですが、「では、往復の旅費と、シンポジウム開催の3日だけ宿泊はサポートしましょう。他はどうぞ自分でご自由に」という合理的な決済がこの国では成り立たないのです。
また、食事代を出すのも一苦労です。
皆一様にびっくりされるのですが、こちらも出せないものは出せないし、訪問先2カ所で適当に折半する、というのも、ことをややこしくしたりします。
(その結果、秘書さんが大変な思いをすることになります・・・)

したがって、もし研究者が研究に多くの力を割けるようにするには、そして、どこか特定の企業がそれをサポートできるだけのメリットを感じないのであれば、必要を感じる人たちがそういう組織を作ればよいのですね。

そういうNPOがうまく立ち上がるためには、公共的な団体への寄付に対しての税金免除などがネックかと思うのですが、要するに「小さな政府」を作るというのは、ただ公務員の数を減らせばよい、という問題ではなく、非合理的なシステムを見直すということが大事なポイントなのだと思います。
企業から税金として徴集し、それをまた配分すると、その間の事務を行う人件費で、お金は目減りします。
もっと直接的になれば合理的だと思います。
また、そういうNPOを仕切ってもらうには、ドクターやポスドク経験者も必要でしょうね。

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明日は、東京で会議や打合せが3つ。
やれやれ・・・

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で、本日はアポイント3つと会議1つ。
アポイントの1つはとてもオフィシャルなので、このブログに書いても良いと思うのですが、日本学術振興会のK部長(って、イニシャルにしてもすぐ分かることなのですが)に、「RPD制度の改善に対する分子生物学会からの要望」を手交してきました。
こちらの分子生物学会のHPからも、要望書は見ることができます。
基本的には、さらなる周知の徹底や、3ヶ月以上の研究中断という要綱をもっと緩くしてほしいなどのことが要望として挙がっています。
このあたりが施策としての制度設計との難しさなのですが、「RPD制度」は本来「復帰支援」として始まったことなので、産後1ヶ月しか休んでいない人を対象としてよいのか、(育休を取ってそのまま復帰できていない人も多数いるはず)ということで、このあたりに落ち着いたという経緯もあります。
もちろん、本来は「育休を取らないで研究を続けら得る」環境が理想なのだと思うのですが、その環境作りには他にも必要なことがいろいろありますね。

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という話とはindependentなのですが、面会の最後にK部長が「先生、もしかして高校は××ですか?」と聞かれるので、「はい、そうですが」と答えると「私もそうなんです」ということで、世間は狭いなあと思いました。
K部長は2期上で、おなじみK先生は1期上の先輩です(あ、個人情報をばらしていますね)。
「じゃあ、今度、プチ同窓会をしましょう!」という話で終わりました。

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他のアポイントでJSTの研究開発戦略センターを初めて訪れたのですが、そのネタはまたいつか。
by osumi1128 | 2007-05-17 23:59 | 雑感

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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