JSTの研究開発戦略センター(CRDS)

先週末が青葉祭りで、まさに、定禅寺通り、青葉通り等の欅並木の青葉が茂れる季節になったことを実感します。
私はこの季節の仙台が一番好きですね。
爽やかな空気だけでなく、日没が遅くなって夕方が長いのも、何か嬉しい気分です。
早めに仕事を終えて、オープンカフェで食前のシャンパンなどを飲んだら、気持ちよいのですが、なかなかそうもいかず……(苦笑)。

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さて、一つ前のエントリーの続きになります。

科学技術振興機構の組織として研究開発戦略センターというものがあり、いわゆるファンディング・エイジェンシーのシンク・タンクとして機能しているようです。
博士号を持った方や、ポスドク経験者、大学の講師等を務めた方などの専門家が多く、日本のトップダウンの研究として何をすべきか、についての提言や政策立案などを行っています。
例えば、先頃提出された「戦略プロポーザル」では
科学技術未来戦略ワークショップ等を通じて、科学技術の研究分野を俯瞰的に展望し、今後重要となる分野、領域、課題、およびその推進方法等を系統的に洗い出します。さらに海外の研究開発状況との比較を行い、社会ニーズやビジョンをどう実現していくかなどを考慮しながら、国として重点的に推進すべき研究領域や課題を選び、「戦略イニシアティブ」、「戦略プログラム」あるいは「戦略プロジェクト」などに仕上げていきます。

というような活動をしています。

例えば、私自身の研究に近い分野としては「認知ゲノム −脳の個性の理解と活用−」というものが2006年の「戦略プログラム」に挙げられています。
こちらが決まるまでには、論文等のサーベイによる分析だけでなく、シンポジウムやセミナー等が複数回開かれ、研究者からの意見徴集も行い、数十頁に及ぶ提言としてまとめられることになります。
そして、その中に書き込まれた重要課題が、JSTなどのプロジェクト研究のテーマとして挙がるという流れです。

今回、新たにCRESTの領域として設定された「精神・神経疾患の診断・治療法開発に向けた高次脳機能解明によるイノベーション創出」は、ライフサイエンス分野の戦略重点科学技術の中で「生命プログラム再現科学技術」と「臨床研究・臨床への橋渡し研究」に該当します。

一番ボトムアップなのは、各個人が申請する文科省の基盤研究ですが、「特定領域研究」の決まり方もかなりボトムアップです。
通常の科研費申請シーズンに応募し、その後、20数名の審査員による書面審査、ヒアリングと続きます。
生物系の審査部会の場合には、バランスの取れた審査員の構成になっているために、意見はかなり平均化され、信じられないような結果になることはまずありません。

もう一つ言っておくべきことは、経産省のプロジェクトや、ライフ課独自のプロジェクトは、競争的研究費全体の中ではさほど大きくありません。
#先ほどから30分以上、公開されている資料をweb上で探したのですが、見つかりません(涙)。
経産省の科学技術関係予算は文科省全体の4分の1くらいだったかと思います。

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先日、意見交換のためにCRDSの方との打合せがあり、初めてCRDSのオフィスを訪れました。
都内の二番町のビルの中にあるのですが、入り口が何やら造形的で「???」と思っておりましたら、一種の「結界」なのだそうです。
つまり、その中に入ると、外の世界とは違う環境で、イマジネーションを働かせて政策立案等を考えましょう、ということらしい。
オフィスの中も、まるで外資系の会社のようで、こんなところに大学院生等をインターンシップに派遣したら、皆、就職したがるのではないかと思ってしまいました。
専門的な科学リテラシーを活かして政策立案を行うというサイエンスとの関わり方は、私はとても魅力的だと思います。
ちなみに、インテリアの費用は、役員用オフィスなどの削れるところを削って、そんなに割高にはなっていないというお話を伺いました(念のため)。
by osumi1128 | 2007-05-25 01:11 | 科学技術政策

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