ポスドク問題と女性研究者育成問題と
2007年 06月 17日
気温が25度を超えると皮膚の毛穴が開く感じがしますが、仙台に戻るとそういうことはありません。
さて、昨日書いたものが消えてしまって、すぐには書き直す気にならなかった「ポスドク問題と女性研究者育成問題と」について整理しておこうと思います。
私にとっては、どちらも次世代支援という範疇に入る大切な問題です。
どちらもある意味「マイノリティー」という面があるのですが、平成18年時点での女性研究者は日本では約10万人、ポスドクは1.6万人くらいだったと記憶していますので、実数としてはずいぶんと違いがありますね。
ちなみに、大学学部入学者が文系理系合わせて60万人、大学院の博士課程卒業生は1.5万人となっており、研究者総数としては約80万人です。
また、歴史という意味でも、女性研究者育成支援問題のルーツは、少なくとも平成11年の男女共同参画基本法に遡り、もっと元を辿れば1975年の国際婦人年くらいに遡りますので、約30年以上の歴史があるのに対し、ポスドクの数が増えはじめたのは科学技術基本計画が策定された10年前頃です。
30年前から女性研究者が不当に扱われていることを訴えてこられた先生方は、当時、現在よりもはるかに大変な思いをしながら主張されてきたのだと拝察します。
私が東北大に来た9年前くらいの時点で、私の感覚としては「男女共同参画問題に首を突っ込むのは自分の研究キャリアにとってはマイナスではないか?」と思ったこともありましたが、今はそんなに特殊なことではない風潮にはなりつつあると思います。
(もちろん、「女性は論理的な思考ができない」と思っているような方はまだ生息していると思いますが)
日本のポスドクは、あるとき、大学院生の数を増やしたことの受け皿として、また、人手が欲しい先生方のニーズとマッチして、国家予算を投入して数を増やしたことは明らかなので、私はポスドクの方達が「なんとかしろ!」と立ち上がって声を上げても良いと思うのですが、次の就職先に移るためにも自分の業績は挙げなければならないし、ボスの顔色を窺わなければならないという事情もあるのだと推測します。
でも、30年前に声を上げた女性研究者も状況はさほど変わらなかったのではないかと思うのです。
いろいろなやり方でボトムアップの声を届けるべく、自分のためにも、仲間のためにも、頑張った方達がおられたから、少しずつ変わってきたのだと感じます。