算法少女
2007年 06月 21日
仙台は雨模様だったのですが、東京は梅雨の晴れ間。
でもそんなに暑くなくてほっとしました。
時間調整のためにまずオアゾの丸善に寄って、昨日取り上げた『算法少女』を早速ゲット。
それを帰りの新幹線で読みました。
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数学を学ぶ町人の少女の本が、安永という江戸時代なかば過ぎに出されたことに、当時の日本の民度の高さを感じます。
その『算法少女』をもとに、遠藤寛子さんは「古い織物の消えかかった絵模様を、似合いの色糸でうずめていくように」ひとつの物語を紡ぎ出しました。
挿絵は箕田源二郎画伯の味のあるものが再録され、雰囲気を添えています。
「趣味」として算法をたしなみ、それを娘に教える町医者の父と、娘が算法をするよりは現世の実利を考えて「女らしい」育ち方をしてほしいと願う母と、そのどちらとも違って、算法の学問としての素晴らしさに魅せられている娘。
算法という学問の中の流派の争いはナンセンスだとみなす算法家や兄。
武家と町人の間の葛藤。
さまざまな人間模様の中に、作者は次のような思いを込めます。
この本をよまれたみなさんが、将来どの方面に進まれるにせよ、ひらかれた、ひろい心こそ、学問や世の中の進歩につながることを忘れないでいてほしいとおもいます。(はじめに、より)
遠藤寛子さんもまた、父親から『算法少女』のことを聞いたことがきっかけでこの本を執筆することになった訳で、時空を超えた二組の父娘の縁を感じておられるとのことでした。
最初にこの本を書かれたのが30年前なのに、決して古びていないということは、長生きする本だということですね。
この本の復刻についてのドラマが「文庫版あとがき」に書かれていますが、数学界関係者だけでなく、感想文の課題としてこの本を取り上げ続けた高校の先生などもおられたとのこと。
「思いは伝わる」のだと思います。
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おっと、日付が変わって、本日22日は「東北大学百周年記念日」です!
各キャンパスでいろいろなイベントが行われますが、医学部では同窓生である岐阜大学学長の黒木登志夫先生の講演が行われます。
・・・という情報をweb上でさっきから探したのに見つからない・・・(涙)。
駄目ぢゃん。うーん。