特色ある大学ーーー次世代認定と環境ISO

日帰りで東京に行ってきました。
お茶の先生の94歳のお誕生日のお食事会だったので。
こちらの先生の社中になったのは10年以上前。
その頃までは出稽古にもいかれていたということですが、ここ数年でだいぶ足がお悪くなったので、お食事会も車椅子対応の良いホテルのレストランが多くなりました。
やはり普通のところはまだ思わぬ段差があったりするのですよね。

お茶の年下のお友達で航空関係のJ社のマネージャー職の方がおられるのですが、さすが会社の方で必要だったために介護の何級かの資格を取っておられ、車椅子の押し方もスムーズです。
このお友達は「資格マニア」で(というか、J社は資格を取るなどの自己啓発を進めておられるそうです)、「日本茶ソムリエ」「マナープロトコール」「日本語話し方」などの資格を取られているとのこと。
「脳を活性化するのにもいいと思って」とは、恐れ入ります……。

*****
ところで、先日岩波書店の『科学』の5月号の特集「《競争》にさらされる大学」に「変わったこと、変わっていないこと」というコラムを寄稿したのですが(目次はこちらからどうぞ)、この特集は大学に関するさまざまなデータが載っていて参考になります。
とくに「外国にみる大学のビジョン」というテーマで、欧州、米国(スタンフォード大を例に挙げて)、中国、英国の状況が取り上げられ、また「国立大学の財務をどう読むか」というデータも興味深いものでした。

その執筆陣に高校の同級生の名前を発見!
「地方大学の今」というテーマの中の「統合・大学院化・法人化が山梨大学にもたらしたもの」という記事なのですが、山梨大は数年前に、山梨大と山梨医科大学が統合し、さらに大学院重点化と法人化という荒波を超える中で、「中央でもなくへき地でもないという中間の立地条件で(大学削減の)標的にされるという危機感」があり、「これを跳ね返して生き残るためには、山梨大学として特色を示し、存在価値をアピールする必要があった」といいます。
その結果、教育システムの改編、地場を活かした新規研究の立ち上げなどが進んだということなのですが、特筆できるものとして、「附属病院の黒字経営」と「学内一丸となって取得した環境ISO」があるとのことです。
後者は、2004年に全国で最初のISO14001認証とのことで、これにより「自然豊かな環境に優しい大学」であることをアピールすることができた、と書かれていました。
確かに、昨年、講演に呼んで頂いて初めて元医科大学の方のキャンパスを訪ねましたが、緑の多い印象を強く受けたことを思い出します。

特色ある大学ーーー次世代認定と環境ISO_d0028322_21485871.gif
もう一つ、このエントリーで取り上げたいのは福井大学の「くるみんマーク」交付です。
先月、福井大学は「子育てに優しい職場」 仕事と家庭・育児の両立支援企業第1号に認定されていました。
次世代認定マーク「くるみん」とは、厚生労働大臣の認定なのですが、
2005年4月施行の「次世代育成支援対策推進法」に基づいた子育て支援のための行動計画(一般事業主行動計画)に取り組み、実績が認められた事業主が取得できるもの(福井大学の記事より転載)

ということになっています。
次世代育成支援対策推進法についてはこちら
企業は、「子育てに優しい職場」であることをアピールするのに、「くるみんマーク」を商品や宣伝に使うことができるのです。
(ちょうど「エコマーク」のようなものですね)

で、すでに厚労省からの発表によれば、4月末の時点で128社がこの認定を受けているそうです。
さらに、くるみん取得サポートを行う会社まで出現していました。

最初、厚労省の発表記事を見たときに、「法人化したとはいっても、大学でこれを取得するのは難しいのではないか?」と思ったのですが、福井大学、さすがです!
我が東北大学は杜の都女性科学者ハードリング支援事業などを展開していますが、先を越されてしまいました。
(ただし、上記の見出しはちょっとオーバーで、福井県内で第一号、また、全国の国公私立大学でも初、ということです)
こういう取り組みが全国の大学にもっと広がるとよいと思います。

*****
ちなみに、このエントリーを書くためにちょっとwebをいろいろ探してみた際に、厚労省のホームページには「音声読み上げ/文字拡大サービス」と「点字ファイルダウンロード」の機能がトップ頁のバナーボタンに附属していることを発見。
医療制度や厚生科研費についてはいろいろ言いたいこともありますが、このHPの姿勢はポジティブに評価すべきですね。
(なお、文科省のHPには「読み上げ支援ツール」がありました。)
by osumi1128 | 2007-06-24 21:50 | 科学技術政策

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