宮崎大学・女子大学院生支援Athenaプログラム
2007年 06月 30日
朝一番に生命科学研究科の先生と脳COEの打合せをし、ラボに行って、「鳥類胚観察実習」の様子を見てから、仙台空港へ。
福岡で乗り継ぎ降り立った先は、なんとかパームが植わっている南国は宮崎。
「女性医学者ロールモデル発表会」のパネリストとして参加するためでした。
宮崎大学では平成18年度の「魅力ある大学院教育イニシアティブ」に「臨床医療と展開医療を融合する研究拠点」(拠点リーダー:中里 雅光先生)が採択されているのですが、その教育プロラムの3本の柱の1つが「女子大学院生への積極的な支援」ということになっていて、以下の4名がパネリストとして20分の講演をまず行いました。
(他の2つは、「臨床&展開医療」と「産学連携」とのことです。)
柳田素子京都大学医学研究科21世紀COEプログラム
”病態解明を目指す基礎医学研究拠点”特任COE准教授
石川恵美宮崎県立宮崎病院内科医長 兼、栄養管理科医長
大隅典子東北大学大学院医学系研究科付属創生応用医学研究センター
形態形成解析分野 教授
足立健彦財団法人田附興風会医学研究所北野病院 麻酔科部長
私は医学部の卒業ではないので、「女性医学者」のロールモデルと言えるか分かりませんが、現所属が医学系研究科ですので、まあ何かの参考にはなるだろうと思ってお引き受けしました。
今回のタイトルは「研究室の女将になって」としてみたのですが、そのココロはというと、実は小さいとき(といっても高校生くらい)に「料亭の女将」に憧れを持ちました。
女将って、総合空間プロデュースをするカッコイイ職業だと思ったからです。
にこやかに三つ指突いてお客さんを「いらっしゃいませ」とお迎えする裏では、板場や仲居さん達を率いて、彼らがうまく働けるように気を配り、季節ごとのお料理メニューや器を一緒に考えたり、お花を選んだり、(もしかすると、しっかりお金の計算もしたり)……。
で、全然違う研究畑で過ごすうちに研究室を主催する立場になった訳ですが、PIの仕事というのは案外「女将」に似ている面があるなあと最近とみに思います。
学生さんやスタッフの方達が気持ちよく効率的に働けるような仕組みを考えたり、様子に気を配ったり、研究成果を一番美味しく調理して世の中に出すにはどうしたらよいか考えたり、研究費を獲得して最大限の成果が得られるようにしたり……。
他のパネリストの方々のお話もそれぞれとても参考になりました。
柳田さんはご自分のご研究内容についてお話しされた後、医学部の女子学生さんへ「自分のやりたいことを理解して、それを伝えられる<良いコミュニケーション>が必要」と述べておられました。
石川先生は、県立病院の内科医から緩和ケア、栄養管理までをカバーされておられ、その姿勢は女性ならではの面があるのではないかと思いました。
4人の中の唯一の男性だった足立先生は、大阪の北野病院の麻酔科部長をされているのですが、この病院は2006年10月に「働きやすい病院評価」認定第3号を受けたのだそうです。
これはHospirate働きやすい病院評価事業として為されたもので、その母体はNPO「女性医師のキャリア形成・維持・向上をめざす会」です。
他にこんなサイトも知りました。
日経メディカルブログ:公平順子の「仕事も家庭もあきらめない」
理系のオーバーワーク気味なライフスタイルの中でも、(医療がどこまで理系かは議論しないとして)医師の就業環境が悪いことはよく知られていますが、こういう地道な取組がなされているのですね。
日本はお隣の韓国よりもボトムアップの活動が多いように思います。
ご挨拶からずっと参加して下さった文科省の高等局の医学教育課の方には、是非、莫大な税金をかけて教育している女子医学生の力を活かす施策をトップダウンにして頂くことを御願いしたいと感じました。
せっかく医師になって、出産・育児で医療現場からすっかり離れてしまうのは、ご本人にも国全体としても、もったいないことだと思います。
とくに地方の医師不足が言われる昨今、女性医師の復帰支援策は大切でしょうね。
(うーん、でもこれは文科省マターではないかも……そのあたりの連携が難しいのですよね……。)
とにかく、企画に関わられた中里先生、伊達先生、有り難うございました。