アカデミアからのアクション

9月13日のエントリー「プレスリリースと立ち上がるポスドク」については、いくつかのコメントを頂きました。
その中で、生理学会の若手の企画に政治家を呼ぶのは、あまり良い作戦ではないと思ういう意見を書いたのですが、それに対しての反論が以下のようにありました。
(すみません、元エントリーを見ていただいてもよいのですが、コメント欄をどうやって読むのか知らない読者もおられますので)

Commented by 生理学者 at 2007-09-16 23:16 x
「順序」というならこっちでは?
ポスドクの考え・思い=民意⇒政治家⇒政策⇒官による仕組み化

>「それはあまり適切ではないと思う」
なぜ上から決め付けてるんですか?適切か否かの基準から話し合うべきでは?

Commented by 山下 at 2007-09-18 09:11 x
僕も生理学者さんの順序に賛成。
民主主義国なのですから、政治家が民意を汲みあげるべきですね。
大隅さんは御自分の決め付けを反省して、撤回すべきです。

Commented by ほんとに? at 2007-09-19 00:41 x
民主主義の仕組みを理解していない教授がいるとは・・・。


1万5千人ほどのポスドクは日本の中でごく少数派(仮に日本の人口を1億2千万人とすれば0.0125%)です。
つまり、ポスドクにとって「いいこと、うれしいこと」は、その他の人にとっては必ずしもそうではないかもしれない訳ですね。
したがって、多数派の意見の方がより民意を表すということですと、生理学者さんの言われるほど単純ではないと思われます。

政治家を動かすには、それに見合う政治活動資金や票田が必要でしょう。
かつて日本歯科医師連盟という政治団体が橋本龍太郎元首相に1億円のヤミ献金を行い、首相はそれが元で退任に追い込まれました。
日本の歯科医師は現在10万人を超えたということで、ポスドクの10倍近い数がいるのですが(それでも0.1%程度)、その過剰問題が生じています。
それなりの努力と投資によって免許を得ても、過去と同程度の収入を得ることは非常に難しくなり、歯科医師会や歯科医学会、あるいは主だった歯科大学の同窓会などで大きな議論を呼んでいるのです。

医師会も歯科医師会も推薦する政治家を国会に送り込んでいます。
民意を(一部であれ)政治に反映させるためのやり方の一つです。
もっとピュアに活動する政治家もおられるでしょう。
でも、その目的は「環境問題」であったり「教育問題」であったり、明らかに「誰にとっても非常に大切な問題」だからこそ看板として掲げるのに適しているのだと思います。

したがって、「ポスドク問題」に政治家を巻き込むとしたら、それはかなりの最終手段としてだと思いますし、それなりの準備と覚悟と努力と妥協が必要だと考えます。
そもそも、政治家で博士号を持っておられる方はどれくらいいるでしょうか?
人間、自分と同じ境遇の人には同情もしますし、力になりたいとも思うでしょう。
そうでない方に理解を得るというのは、そう簡単なこととではなく、さまざまなお膳立てが必要ですね。

Commented by 翁 at 2007-09-22 14:11 x
大隅先生の見解は間違いではないのですが、これはとりもなおさず日本の「学」が国民ではなく役人の方を向き続けてきたことの証左でもあります。その結果、学が役人の操り人形と化した事実を深刻に受け止めなくては、問題の根本は何一つ改善しないことでありましょう。


この方のコメントは一つの核心を突いていると思います。
私の意見は上述のように、「官」に働きかける方がずっと近道であり、少なくとも、大学院重点化とポスドク1万人計画は行政誘導で為されたことなので、その施策の結果として不具合が生じているのであれば、それは責任がある、という立場にあります。
ですが、「学」と「官」の関係の方がずっと近く、「学」から「政」への働きかけがきわめて少なかったことの弊害を、この時点で考えるということも必要だとは感じています。
ただ、そのやり方は政治団体を作ることではないと思いますし、ごく少数の人間の間のやりとりで決まるべきでもないと考えます。
「学」が「政」に奉仕するだけなら、何も変わったことにはならないでしょう。

ブログのコメントでenokiさんが主張されるような「民意民力」を活かすことが基本的にまず大切なのだと思います。
例えば、なんらかの稀な難病があったとして、その患者数はどんなに少なくても、なんとか診断法・治療法を確立するために研究費を出して欲しいという患者団体は、このような機能をもった集団です。
国全体のコストパフォーマンスの問題などもありますが、先進国と言われる国であるのなら、国民全体の見識や優しさに訴えることもできるでしょう。
もっといえば米国のように、患者の団体が研究費を出して、その研究を行う研究者を支えるということもありますね。
(そういう仕組みを作るためには、寄付に関わる税制を変えるなども必要ですが)

ですので、フリーターの200万人に対し、たかだか総人口の0.01%程度の集団であっても、不当な処遇を受けているのであれば、決起してそれを訴えるべきだと思うのです。
とくに、分野を超えて情報交換をし、交流することが重要だと考えます。
by osumi1128 | 2007-09-24 01:42 | 科学技術政策

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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