第5回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム

本日は第5回連絡会シンポに出席してきました。
帰りの新幹線の中でタイプしたものを新宿から投稿します。

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連絡会の今期の委員長は生物物理学会会長でもある美宅先生(名大)で、5期目にして初めての男性委員長でした。
男性ながら柔らかい雰囲気の方で思考にも柔軟性があるタイプで、スピーチはほどよく脱力系なのがとっても今風です(これは褒め言葉のつもりです!)。

朝10時から3つの分科会が並行して行われていましたが、その中で「ポジティブアクション」についての分科会に出てきました。
女性研究者を採用したら部局にインセンティブを与えるという「北大方式」と、総長宣言として「業績等が同等なら女性を採用します」と謳った「名大方式」が印象的でした。
東北大学では今のところそこまでのアクションはしていないのですが、個人的にはアカデミアにおける女性研究者育成に関しては、「公募の機会が増えれば確実に(ゆっくりではあっても)女性は増えるはず」と思っております。
人件費削減の煽りを受けると、例えば1つしかなくなってしまった助教のポストに女性が採用される確率は限りなく0に近づくでしょうが、2つあれば「男女1:1でよいかな」くらいの意識改革は(私の周囲では)進んでいると思っています(やや楽観的?)。
つまり、「アカデミアのポストの数が増えれば、女性採用は増えるはず」ということで、少なくなりつつある男性研究者のポストを奪うのは困るけど、パイが大きくなればみんなハッピーなのでは?と思う次第です。
しかもこれはまさに「ポスドク問題の一番確実な解決策でもある」のですが。

午後の特別講演は元IBM役員の内永ゆか子氏でしたが、さすが先駆的な取組の企業の執行部におられた方は迫力がありました。
女性の活躍促進を阻むこととして4つ挙げられていましたが、その中の一つにあったのが「オールド・ボーイズ・ネットワーク」という言葉でした。
つまり、男性職員が企業に就職した場合には、細かなレベルで指導が入り、組織(男性社会)でのルール(明文化されていない)が伝えられるのに対して、女性にはそれは伝わらない、というもの。
曰く女性の場合は「教わっていない」「教えていない」「どうやって教えていいか分からない」

私自身は大学の学部から女性が1割という社会に放り込まれたので、その間に男性社会の一端を横目で眺めつつ育ちました。
大学院での女性比率は2割くらいだったかと思います。
当時二人いた助手の一人は女性でした。
ボスは最初に「女性は男性の2倍の業績があって同等と見なされるから覚悟しなさい」と言い放った方でしたが、いろいろな面で処世訓というか、組織を動かすための知恵のようなものを授けてくださいました。
例えば、「一人の人間が一度に新しいプロジェクトを同時に始めるのは駄目」「嫌がっている馬を川辺に連れて行っても水は飲んでもらえない」「陣地を押さえるには適当な間隔で石を置くこと」など。
私よりも2つ上の男性の先輩の方の方が教授と接する時間はずっと長いように思いましたので、彼の場合には内永さんが言われたような「男性—男性間での手取り足取りの指導」のようなことは、きっとあったかもしれません。
でも、班会議に同行するような際には、会議での発言の仕方などを盗む良いチャンスでした。

内永さんのお話でもう一つ印象的だったのは、「エグゼクティブはそれぞれ何か社会に貢献することをすべき」というルールです。
内永さんの場合にはそれがJ-WinというNPOの設立などに繋がり、IBMを退職された現在、女性技術者の育成支援の活動をされています。
会社のエグゼクティブと言われる方々が大学という組織でどの職位に相当するのか不案内ですが(給与も大きく違うでしょうし)、「恩返しをするgive back」という精神は職位が上になればなるほど必要なことだと思います。

今回はパネル討論に参加して、東北大学の取組について短く取り上げました(5分というのはさすがに難しいものがありました。だって、他のパネリストの方もそれより長く話しておられるし……)。
でも、来賓のご挨拶からされた板東久美子・内閣府男女共同参画局長や、山脇良雄文科省科学技術学術政策局基盤政策課長(振興調整費が所轄)も最後まで参加されたことは、連絡会の活動が行政と連携して続いていることを強く印象づけました。
山脇課長が次年度の概算にも女性研究者育成支援モデル事業を組み込んでいるというスライドを出され、ちょっとほっとしました。
この事業を展開したいと考えている大学や研究所はまだまだありますので。

連絡会のお世話をしてくださいました幹事学会の皆様、会場関係の名古屋大学の皆様、お世話になりました。
お疲れ様でした。

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明日は久しぶりにお茶のお稽古に顔を出してから仙台に戻ります。
横書きから縦書きに変わってリフレッシュする貴重な時間です。
by osumi1128 | 2007-10-05 23:16 | 科学技術政策

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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