安藤先生へのファンレター

2005年5月21日
安藤先生

本日は東北大学医学部艮陵同窓会の特別講演を有難うございました。
先生の、そして先生のデザインしたもののファンとして、初めて生のお声を伺うことができ、感激しました。
ご著書にサインも頂けましたし、ツーショットの写真まで。
さらに予想外のことに、たまたま私のオフィスにまでおいで頂き、とってもsurprise!でした(片づけていなかったのが唯一残念なことです)。

一時間以上に渡るpassionateなご講演の中のたくさんの言葉を反芻しています。
「モノを視る目」「感性を磨く」「創造力はコンピュータではなく人の頭の中にある」「人と環境と建物の調和」「逆境からの創造」「創造的かつ合理的であること」「知恵を絞れば困難を乗り越えられる」・・・・・
数々のコンペを勝ち取っておられる陰に、沢山の敗戦があり、それでもチャレンジし、自分が良いと思ったことを粘り強く周囲を説得して成し遂げていく・・・先生から大きなパワーを頂いた気がします。
ユーモア溢れる語り口もとてもentertainingでしたね。

私自身は東北大学医学部の中で基礎研究分野におり、脳の発生発達の遺伝子プログラムを理解することを目指して研究しています。
言ってみれば「脳のレシピ」を解き明かそうとしているのです。
(多くの方が発生の遺伝子プログラムを「設計図」というアナロジーで説明されますが、私はいわゆる「設計図」とはちょっと違うと思っています。
図面と出来上がったものはほぼ一対一に対応しているでしょうが、遺伝子は「小指の先の爪」や「右の眉毛」などに対応している訳ではありません。
また、もっと大事なことに、「脳のレシピ」は設計図よりもはるかに柔軟で、環境に上手に対応しうるものです。
おそらく建築でも実際には現場で働く人たちがその場で良い方向に修正したりすることがあると思うのですが。)
科学研究はとても面白いのですが、どんどん専門化が進んでしまい、一般の方々とその美しさをなかなか共有できないのが残念です。

少しお話ししましたが、年末に両親と直島に行きました。
残念ながら地中美術館は閉館日だったのですが、2日間、ベネッセハウスの中のアートや、「家」プロジェクトを楽しんで参りました(ご講演のスライドの中にも出てきて、ちょっと嬉しくなりました)。
そして、いつかこのホテルを借り切って小さな国際会議を開くことができたら素晴らしいなと思いました。
そこここにアートが溢れる環境で合宿形式の会議を開き、オフの午後に「家」プロジェクトや民家を見に行ったり、朝食前の地中美術館鑑賞ツアーなどを組んだら、サイエンスの議論もさらにstimulateされるのではないかと考えたのです。
ネックはやや宿泊料金が(国民の税金を元にした研究費で支払うには)高いことで、何か良い方策はないかと思案中です。

淡路夢舞台も何度か会議で参りましたが、先に植樹を始められたとは存じませんでした。
先生のデザインは幾何学的で人工的な要素と、光や水や緑などの自然の要素の組み合わせが素敵ですね。
また、既存の建物や景観を生かしながら、そこに斬新なデザインを加えていくというコンセプトも素晴らしいことだと思います。

御本の中に引用されていたサンディエゴのソーク研究所の建物を初めて見たのはかれこれ15年ほど前になるでしょうか。
最初は留学していた日本の研究者が発表に使われたスライドでしたが、ちょうどシンメトリーな建物の間に望む海に太陽が沈んでいく情景は、まさに絵のように美しいものでした。
そしてセミナーや研究打ち合わせのために実際に訪れたときは、ちょうど結婚式のセレモニーをしていました。
日本の研究施設の建物で結婚式のセレモニーなんて、絶対にあり得ないでしょう。
それにもまして、打ち放しのコンクリートの壁とパイン系と思われる木の部分との対比が素晴らしく、こんな感性溢れるデザインの建物の中で日々研究生活を送るということは、どんなに心地良く刺激的なのだろうと羨ましく思いました。

人が建物を造り、その建物が人の心の有り様をつくるのだと思います。
先生のデザインされる建造物が、これからも多くの人たちに感動をもたらすことを期待しております。
どうぞお体にお気を付けられて益々ご活躍下さいませ。

新緑の仙台より
大隅典子

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by osumi1128 | 2005-05-22 20:48

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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