研究分野の英語教育

2週間ほど前に美容院に行ったのですが、以前お願いしていた担当の女性美容師さんがお店を変わられて、代わりに男性の方にして頂いたのですが、ちょっと気に入らない点があって、実は悶々としていました。
「美容院(床屋でも)に行って、帰ってから仕上がりに文句を言うものではない」と、昔、祖母に諭されたことを思い出します。
曰く「何か気に入らなければ、してもらっている間に注文を付けるべき」
(いやー、それがなかなか、言いにくかったりするのですよね……)
でも、今回は、仕上がった段階では気付かないことだったので、まあ仕方ありません(苦笑)。
そもそも、男性美容師さんは何故か苦手です。
で、本日、意を決して元の美容師さんが移られたお店に行き、対応策を教わってほっとしました。
小さなことでも、気になることがあると余分なアイドリングのエネルギーを使いますので。

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しばらく前に業界仲間のHさんとメールでやりとりしている間に、研究分野の英語教育をどうするかという話題になりました。
Hさんは今、そのための教材を開発しているところだそうです。

そのために、英語教育を専門とする会社の方々と、いろいろ打合せ等をする際に、「お互いのコトバがまったくといっていいほど通じない」ということを発見したそうです。
確かに、Hさんが目指しているのは、ただ普通に英会話ができる、というようなことではなく、科学のロジックをいかにコトバにするか、というところにあるので、普通の「文系的」英語教育では目的に適わないのですね。
英会話講義に関して、あまり教材に凝りすぎると,窮屈すぎて授業がうまくいかなくなる可能性もあり、難しいなあとおもっています。英語教育と科学研究という本当に異分野の融合という感なので、取りあえずやってみて様子をみるしかありません。生命科学分野は間違いなく英語が必要な専門分野なので、その間の融合研究があってしかるべきだと思うのですが、本当に存在しないみたいです。(本人の許可を得ています)

なるほど、目から鱗の指摘です。
科学研究に必要な英語教育は「異分野融合領域」なのでした。

でも、よく考えると、本来は初等中等教育の間に、日本語でロジックを理解したり伝えるための教育というのが、もっと重要視されるべきなのかもしれません。
そこがしっかりしていれば、あとは普通にNOVAでもBerlitzでも補強できますから。
ただし、英語の音声の聞き取りや発音は、言語の可塑性のある時期からexposeした方がベターであることは間違いないでしょう。
私はどちらかといえば「中身」がある方が大事だと思っていますが。

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ニュースを見ていましたら、今年のノーベル賞、医学生理学賞はマリオ・カペッキ博士ら3名に決まったという報道がなされました。
ついに、というか、ようやく、というか、ノックアウトマウス技術を対象とした受賞者が決まったことになります。
ES細胞に関してはマーチン・エバンス博士の功績ということで、本当は、この技術の背景には哺乳類胚の培養法などもあるのですが、ノーベルの遺言通り、3名までということですから、仕方ありませんね。
英国における哺乳類胚の培養技術には長い歴史があり、先日亡くなられたアン・マクラーレン博士なども、そういった伝統を作ってこられた方のお一人でした。

ユタ大学のカペッキ研には、駆け出しの助手の頃にセミナーをさせて頂いた思い出があります。
ただ訪問するだけのつもりが、当時、日本から留学されていたCさんが「セミナー、しますか?」と言われて、「はい、お願いします」ということになったのは良いのですが、アイオワ市でのミーティングの後、シカゴ乗り換えでソルトレイク市に行く予定が、最初の便が遅れてしまい、シカゴの空港から焦ってお電話しました。
「すみません、セミナーの時間にぎりぎりの到着になりそうなのですが……」
「では、空港から直行します。荷物は預けましたか?」
「いえ、すべて機内持ち込みです」
「じゃあ、たぶん大丈夫でしょう」
ということで、お迎えに来て頂いた車の中で、カルーセルにスライドを順に入れていき、セミナーの部屋に着いた途端に始めるというドキドキものでした。
以来、セミナー当日の移動はできれば避ける、ということになった次第です。
カペッキ先生、おめでとうございました。
by osumi1128 | 2007-10-08 21:14 | 雑感

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