大江健三郎と白川英樹

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昨日は台風の影響とかで一日雨模様。
夕方、仙台駅近辺の用事を済ませて、車を置いていたホテルMの2階にある日比谷花壇の前を通りかかると、オレンジとサーモンピンクの間くらいの何とも素敵な色合いのカーネーションがあり、「それ、全部下さい」と10何本かを衝動買い。
綺麗なお花は気持ちが和みますね。
(暗めの部屋で携帯デジカメ画像故、あまり美しく撮れていませんが……)

* ****
さて、先日の大江先生と白川先生の講演会ですが、仙台国際センター大ホールに立ち見がでるくらいでしたから、1000人は超えていたかもしれません。
お世話をされていた法学研究科のT先生に「大隅さんも来て!」と頼まれたのですが、そんな必要はなかったということですね。
私としては滅多にない機会を頂いて有り難いことでした。
印象に残った言葉などを書き留めておきたいと思います。

まず大江先生の方ですが、ご講演のタイトルは「新しい知識人を期待する—領域からも、国籍からも自由な」でした。
残念ながら途中からの参加でしたので、全体通してお話を伺えなかったのですが、「技術と技能」というテーマが面白いと思いました。
「技術」というのは伝えられるものだが、それを受け止める方に「技能」があるかどうかで、そこに新たな創造が生まれるかどうかが変わってくる。
「手で考える」つまり「身体的なものを包括した技能」ということが大切。
分野を超えて新しいもの・ことを生みだすには、それぞれの分野のプロがアマチュアとしてともに語り合うことが必要。

とてもstimulativeな言葉がたくさんありました。
思い出せない言葉たちも意識下で熟成されると思います。

白川先生の方は「学術研究と異分野融合」という演題だったのですが、これは実は主催者側が決めたもののようでした。
まあ、頂いた「お題」で話をするというのも面白いものです。
役に立つ研究のみが偏重されて支援を受けるのはよろしくない。
「コツコツ」と時間をかけて積み重ねる研究も大切。
研究できる時間はせいぜい30年〜50年ということを考えると、18歳までにどのような教育を受け、どのような経験をしてくるかが重要。
とくに、人と人の出会い、触れ合いが必要。
これまで以上に、科学にとっては社会との関係を考えなければならない。


先日のキャリアパス関係のシンポジウムでも少しだけ触れましたが、博士の力を活かすためには、大学院における研究経験だけでなく、初等中等教育や、いわゆる「教養時代」の体験が重要だと思っていますので、まさに、その通りと思うお話でした。
先日もニュースで出ていましたが、「平行四辺形」の公式を覚えて、それを用いて計算することは98%の生徒ができても、「図に示された2つの公園のどちらが広いでしょう?」という問題で、「底辺」や「高さ」が明示されていないと、正答率が16%に落ちる、というようなことでは、イノベーションも何もあったものではありませんね。

講演会の後に交流会が開かれたのですが、国際高等教育研究院に所属する大学院生達にとっては、直接、大江先生、白川先生とお話しできるまたとないチャンスでした。
大江先生の本はすべて読破していて、お正月には必ず大江先生の本を読み、自分の3分の1は大江先生の本から成ると言われたK先生も、大感激でお話しされていました。

交流会の最後に、お二人を代表してということで、大江先生がさらに10分ほどスピーチをされました。
何気ない言葉が一つ一つ腑に落ちるように届いてくるというのは、やはりカリスマ的素養なのでしょう。
ご長男の光さんのこと、9.11にからんだご次男のご結婚のことやお孫さんのこと、カリフォルニア大学デイビス校で研究をされていたご次男のお嫁さんが、出産育児で研究中断を余儀なくされたことを、これからその親御さんのところに謝りに行く、というようなお話もありました。
大江光さんの作った美しい曲を聴いたことがありますが、平和を祈る心が受け継がれているように感じたことを思い出しました。
by osumi1128 | 2007-10-28 20:58 | 東北大学

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