新しい発見

新しい発見はいつもドキドキする。
最近残念なのは、自分で手を動かして実験している訳ではないので、「一番最初」に新しい発見を見ることができないということ。

「先生、面白そうなんですけどーーー」
「えっ、ほんと? 見せて見せて」
「後でもいいですかー。この後、かくかくしかじかしなければならないので(個人情報なので保護しました)・・・」
「OK。じゃあ、戻ってきたら声かけてね」
・・・ということで「おあずけポチ」状態。

待つこと数時間。
「先生、いいですかー?」
というお声がかかり、ポチは嬉しくて「ワン」と鳴く。
実体顕微鏡の下にあるサンプルは、肉眼でもすでにその発見の素晴らしさを見せている。
顕微鏡の接眼レンズの幅を狭めて(私は非常に眼の幅が狭い)覗くと、「うーーーん!!! これは凄いね!!!!! 美しいねえ・・・。」
「ですよね。」
彼女は淡々として言うが、きっと本心では狂喜乱舞しているはず。
だって、ここに至るまでに約8ヶ月の仕込み期間があり、何度も辛い思いをしてきたのだから。

「美しいもの中には真実がある」と思う。
顕微鏡の中のサンプルは、未だ何がその遺伝子の機能かを語ってはいないが、こんなに美しい遺伝子の発現パターンは、絶対に大事なことをしていると信じさせる強さを持つ。

このような発見をするのは、研究者にとっての数少ない「ハレ」の日である。
仕込みの期間と良いデータが取れることの割合は9:1より悪いのではと思う。
(少なくとも自分で手を動かしていたときはそうだった)
それでもめげない楽観主義も研究者に必要な資質の1つである。
by osumi1128 | 2005-05-24 18:31

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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