土曜日のシンポジウムと東北大学の至宝展
2007年 11月 18日
銀杏が落ちているので、それを拾う方もちらほら。
塩焼きにしたら美味しいでしょうね。
昨日行われました第6回東北大学男女共同参画シンポジウムは、150名を超える参加者を迎えて盛会のうちに終わりました。
関係者の方々、お疲れ様でした。
とくに直前の段取りについて、大変にご尽力頂いた本部の総務課の方々には、心から感謝しています。
プログラムには載っていませんでしたが、仙台市長の梅原様もご臨席下さり、ご来賓のご挨拶を頂いた後、閉会までご参加頂きました。
沢柳賞受賞者の講演内容も
*インドネシアの地域保健活動の成立と展開
(教育学研究科・特別研究員・齊籐綾美氏)
*イギリスにおけるパートタイム労働の平等法理
(法学研究科・博士後期課程・阿部未央氏)
*機会工学系男女共同参画推進委員会の設立と工学分野における先導的活動
(東北大学機械・知能系男女共同参画推進委員会)
*国際労働移動が家族関係にもたらす影響
(文学研究科専門研究員・ヤマモト・ルシア・エミコ氏)
*農村の女性の起業活動を通じた成長と学習に関する調査研究
(経済学研究科・博士後期課程・畠山正人氏)
*近代武家社会のジェンダー・システムと女性の役割
(文学研究科・博士後期課程・松崎瑠美氏)
など、多岐に渡っていて興味深いものでした。
黒川先生の基調講演は「イノベーション:日本の課題」というタイトルでしたが、グローバルな視点での現在の日本の状況を背景として話され、イノベーションを生みだすのに障害となる「組織をまず考える」日本の体質を挙げられました。
ピラミッド型に並べた四角の中に人がいるという図が、それを象徴していたのですが、よく考えると、「原稿用紙」や「科研費等の書類」など、四角い枠の中に何かを書き込む週間は小学校からずっと染みついてしまうのですね。
コンピュータで文章をつづれるようになった時代になっても、枠に頼っているのは如何なものか?
続くパネル討論「男女共同参画とイノベーション」では、
黒川 清先生(内閣特別顧問)
有本建男氏(JST社会技術研究開発センター長)
小川眞理子先生(三重大学・男女共同参画学長補佐)
遠山嘉一氏(日本女子大学・女性研究者マルチキャリアパス支援プロジェクト推進室長)
原山優子先生(東北大学工学研究科・教授、総合科学技術会議議員)
尾崎加奈子氏(東北大学・生命科学研究科・大学院生、サイエンス・エンジェル)
という顔ぶれで行いました。
有本様が冒頭に「午前中に、仙台市博物館で行われている『東北大学の至宝展』を観てきたが、素晴らしかった。とくに、大正時代の資料として、文部省からの手紙が面白い」と、女子にも入学の機会を与えようとしたことに対しての警告の手紙を紹介されました。
元来女子を帝国大学に入学せしむることは前例これ無事にて頗る重大なる事件にこれあり大に講究を要し候
初代総長の沢柳政太郎は、日本に3番目の帝国大学を作るために、文部省から移った方ですが、「門戸開放」を開学の理念に掲げ、旧制高校出身者以外の傍系入学を認め、結果として女子にもその道が開かれるべきとしたのです。
詳しくは特別展・東北大学の至宝〜資料が語る1世紀〜をご覧あれ。
話が逸れましたが、有本様は元文部科学省科学技術政策局長としてのご経験に基づき、日本の現状についての資料を掲げつつ、第4期科学技術基本計画をどのようにするのか、きちんと考えなければならないとまとめられました。
小川先生は科学史や科学哲学がご専門ですが、平成14年度科学技術振興調整費 科学技術政策提言「科学技術分野における女性研究者の能力発揮」などにも関わってこられた方です。
科学技術イノベーションには「教育」が必要ということを強調されました。
遠山氏は元文部大臣遠山敦子氏の夫君ですが、長く富士通にお勤めで、応用物理学会の男女共同参画活動に大きく貢献され、それが男女共同参画学協会連絡会の設立にも繋がりました。
お話は連絡会の第1回大規模アンケートの資料と、現在関わっていらっしゃる日本女子大学の女性研究者支援モデル事業についてお話しされました。
原山先生はご自身の履歴を振り返りつつ、ご自分のキャリアにおける「イノベーション」を取り上げ、議論もいいがアクションを!と主張されました。
尾崎さんは今年からサイエンス・エンジェルに参加した方で、今回の大役を引き受けてくれました。
教育や介護などの分野では女性の活躍が著しいが、その背景として、このような分野では「競争原理」よりも人に対する慈しみを大事にするためではないか、ということを指摘していましたが、これは自然な感覚だと私は思います。
そして、限られた地球の資源を皆で大切にしながら生きなければならない時代において、より大切なことなのではないかと考えます。
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仙台市内はめっきり冷え込み、今は霙が降っているようです。
今年の初雪と発表されていました。
もう冬、ですね。