『内臓感覚 脳と腸の不思議な関係』『科学者ってなんだ?』ほか
2007年 11月 20日
将来の融合的・先端的学問を切り開く若手研究者を育成するためには、研究室を超えた交流が大切だと信じており、そういう機会になってほしいと願っています。
また、ゴールが設定されていて、そこから逆算して段取りを考えるという経験は、どんな仕事をする上でも大事なスキルです。
工学系の石黒研からはロボットも出展して頂ける予定。
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さて、執筆週間にはそれなりに書き進んだのですが、その後、出張やら会議やらが入ってくると、とたんにペースダウン(涙)。
小説家がホテルやらに缶詰にされて、ひたすら書く、というのはやはり、プロであってもそうでないとなかなか書けないものなのでしょうか。
読む方は出張の行き帰りと(ほぼ)決めているので、書けない期間には読む量が多くなります。
しばらく前に著者から頂いて面白かったのは『内臓感覚 脳と腸の不思議な関係』(福土審著、NHKブックス)。
基本的には「過敏性腸症候群」とはどんな病気なのかについての説明と、治療や生活のアドバイスなのですが、「内臓感覚が情動を生みだす」ということについて触れています。
たしかに、日本語では「腹を割って話す」「腹黒い」「はらわたが煮えくり返る」「腑に落ちない」というように、感情の座を「腹・腸」に置く傾向が見られますね。
実は、理性的な判断よりも前に情動がそれに影響を与えていることは、認知科学的に確かなのですが、その情動に影響を与えているのが、さまざまな身体的感覚であり、中でも著者は内臓感覚が重要であると指摘しています。
「第六感」は内臓感覚をもとにしている、という訳です。
福土先生は東北大学脳科学グローバルCOEのメンバーでもあります。
東北大学の医学部の別の先生からも御高著を頂きました。
『音楽でウェルネスを手に入れる』(市江雅芳著、音楽之友社)という本ですが、こちらはまだ読む時間が取れていません。
同じく待機中なのが、『理系思考 分からないから面白い』(元村有希子著、毎日新聞社)です。
元村さんが毎日新聞の「発信箱」に書きつづったコラムをまとめた本ですが、その他の原稿や、字数制限で紙面には盛り込めなかった追加のエッセイなども入っています。
いつ読もうと思いつつ、あ、そういえば、ここ最近は「寝る前の読書」が減っていますね。
たぶん、一気に読むというよりは、少しずつ大切に読みたい気がします。
関連する内容が含まれているのですが、『科学者ってなんだ?』(梶雅範編、丸善株式会社)という本も早く読みたいと思っています。
著者のお一人であるNHKの村松秀さんが送って下さいました。
東工大で1年生対象「科学者とは何か.その過去と現在」という講義が元になっているとのことです。
執筆陣には、上記の元村さん、白楽ロックビル先生、菅裕明先生などもおられます。
実は折しも、来る12月13日に分子生物学会・生化学会合同年会のシンポジウムとして日本分子生物学会若手教育シンポジウムという企画が為されています。
タイトルは「今こそ示そう 科学者の良心ーみんなで考える科学的不正問題」です。
元々仕掛けられたのはY御大だと思いますが(違っていたらごめんなさい)、座長は京大の山中さんと九大の中山さん、講演者にはY先生の他、文科省ライフサイエンス課長の菱山さんや、上述の村松さんのお名前が挙がっています。
パネル討論の顔ぶれもそうそうたる面々ですが、ボーイズクラブになっていて女性が一人もいないというのは残念。
いえ、女だから入れる、ということではなく、物事を多面的に考えるには、年齢や専門分野のバラエティーだけでなく、異なる性という属性も必要という意味です。